「大村雅朗」~1951-1997 稀代の編曲家・アレンジャー

※当サイトで掲載している画像や動画の著作権・肖像権等は各権利所有者に帰属します。

ID:208

音楽
スポンサーリンク

作曲家、作詞家に比べるとぐっと知名度が低い「編曲家」というポジション。

 

私は70〜80年代の邦楽、歌謡曲が好きでバンドでカバーなんかもやっているのですが、ある時から私が好きなこの時代の楽曲のほとんどが、この「大村雅朗さん」という方の手によるアレンジである事に気がつきました

 

少しでもこの方の素晴らしいプロフェッショナルなお仕事ぶりを知って欲しくて、書いていきます。

 

大村雅朗さんのアレンジャー、コンポーザーとしてのお仕事まとめ

 

作曲、ではなく編曲、がほとんどなので通常意識していないのですが「これもそうだったのか」というのが多くて驚きます。

 

古くは・・・

 

相本久美子「お熱いのはお好き?」
石川ひとみ「くるみ割り人形」
能勢慶子「He is コットン100%」

 

私が初めて聴いた時代でいうと、

 

八神純子
「みずいろの雨」
「想い出のスクリーン」
「ポーラー・スター」
「パープルタウン」
「Mr.ブルー 〜私の地球〜」

 

山口百恵
「謝肉祭」

 

あたりです。こうなると私は八神純子が好きなのではなく大村さんアレンジの八神純子が好きなのでは?とまで思います。(笑)

 

フォークでいうと、

 

永井龍雲「道標ない旅」

岸田智史「きみの朝」

海援隊「人として」

伊藤敏博「サヨナラ模様」

ばんばひろふみ「SACHIKO」

 

どれも時代を超えて「名曲」と言われている楽曲ですね・・・

ついでに男性歌謡曲で

 

渡辺徹
「約束」
「AGAIN」

というのもあります。これまた名曲です。

 

女性アイドルでは、

 

河合奈保子
「エスカレーション」
「スマイル・フォー・ミー」
「Invitation」
「エスカレーション」
「UNバランス」

 

南野陽子「恥ずかしすぎて」

 

福永恵規「ハートのIgnition」

 

小泉今日子「水のルージュ」

 

ベイブ「Hold Me」

 

中山美穂
「クローズ・アップ」
「JINGI・愛してもらいます」
「ツイてるねノッてるね」

観月ありさ「今年いちばん風の強い午後」

原田知世
「どうしてますか」
「早春物語」

 

などがあります。河合奈保子で好きだった曲はまさにこの時代です。ナンノはともかく、小泉、中山、福永、ベイブは時代の要請からかビシバシしたアレンジで、あんまり「大村さんらしい!」という感じではないですね。。。

 

薬師丸ひろ子「メイン・テーマ」
南佳孝「スタンダード・ナンバー」

 

特に薬師丸と南佳孝の2曲は、同曲の詩・アレンジ違いなのですがどちらもスゴイ完成度です(どちらかというと南佳孝版の方がスゴイですが)
https://youtu.be/XF1bINs-nxo

 

沢田研二
「晴れのちBLUE BOY」

これは大沢・銀色コンビです。この曲でこの衣装で紅白…この頃完全に売れる気なしですねジュリー。。。

 

吉川晃司

「モニカ」
「サヨナラは八月のララバイ」
「ラ・ヴィアンローズ」
「You Gotta Chance 〜ダンスで夏を抱きしめて〜」
「Rainy Lane」

 

1st/2ndアルバムと、初期のシングルはここまでが大村さんアレンジ時代です。(シングルNewファイス、3rdアルバムからは後藤次利さん)

 

なかでも、この旋風脚CM(グリコ カリフォルニア バー)で話題になり、急遽両A面になった(元々はLa Vie~のB面)この楽曲は大村さんの作曲です。

 

「Miss You」

すごいキャッチーで耳に残る曲です・・・

 

大沢誉志幸

「CONFUSION」
「その気×××(mistake)」
「そして僕は途方に暮れる」

 

1st~3rdアルバムのほか、上記のシングルが大村さん編曲です。特に「そして僕は~」は大村さんじゃなかったらこんなかっこよくならず、売れず、だったでしょうね。

 

そしたらこのカップヌードルのCMもここまで記憶には残っていないわけです。

*吉川晃司と大沢誉志幸のアルバムについては、別枠で取り上げます!

 

 

渡辺美里

「My Revolution」
「夏が来た!」
「君はクロール」
「Long Night」
「Teenage Walk」
「嵐が丘」
「BELIEVE」
「Lovin’ you」
「夏が来た!」

 

大江千里

「格好悪いふられ方」
「Rain」

 

氷室京介

「LOVER’S DAY」

 

辛島美登里

「愛すること」

 

後に方向性の違いから疎遠になり・・・という美里は、初期のシングル、アルバムが大村さんの手によるものです。

 

この時代に小室哲哉の才能を見抜き大村さんは「いつか君の時代が来るよ」と言っていたそうです。小室自身も、スタジオワークの多くを大村さんから学んだ、と語っています

 

いまはジャズピアニストになった大江千里もその一人ですね。「Rain」は最近、海藤監督の「言の葉の庭」で秦基博がカバーして、若い世代で話題になっています。

 


 

最後に、聖子ちゃん。

 

松田聖子

「青い珊瑚礁」
「チェリーブラッサム」
「夏の扉」
「白いパラソル」
「野ばらのエチュード」
「ガラスの林檎」
「ハートのイヤリング」
「天使のウィンク」
「ボーイの季節」
「時間の国のアリス」
「Strawberry Time」

 

「ガラスの林檎」は、細野さんが途中で投げ出して、ほぼ大村さんが仕上げた、という逸話も(真意のほどは定かではありません)

 

松田聖子の楽曲では
「Sweet Memories」
の作曲家、として大村雅朗さんを知る方が多いのではないでしょうか。

 


 

こんな書籍も出たようですね。再評価されることを願ってやみません。
作編曲家 大村雅朗の軌跡 1951-1997

コメント

  1. 大石良雄(本名) より:

    拝啓 サイトヘッド様にはよろしくお願いいたします。
    そうでしたか、、サイトヘッド様とフィーリングのマッチするアレンジャーの方は大村雅朗さんでしたか。自分はかなり以前からお名前だけは知っていて「パープルタウン」の頃からでしょうか。実はさほど意識した方ではありませんでしたが、今回少しじっくりと作品を聴かせて頂き再度勉強させて頂きました。通り一遍の浅い感想ですと「何か、船山基紀さんのフィーリングに何となく近いのかな?」と。 自分のクセと言いますか誰かを研究するにあたりまず第一に重視する事は「どういう音楽の専門教育を受けたのか? どこの音大や専門を出たのか? 師匠は誰なのか?」なのです。クラシックの系譜を見ますとかなりの部分でつながっておられる部分がありますが、殊更JPOPの世界では異なる様です。「大村雅朗さんは、説が正しいならヤマハ音楽院にてバンドコースからキーボードコース卒業後にロスに渡米して勉強」。
    また「船山基紀さんも、鼓笛隊奏者から大学ジャズバンドのコンマス、更にヤマハ音楽振興会で働きながら独自の勉強をした」と。共通する点は=キーワードはヤマハです。実は、サイトヘッド様は当然ご存じのはずであり勉強もされておられるはずですが、「ヤマハと言う会社の底知れぬ深さと恐ろしさ 物凄さ」をひしひしと感じます。自分はミッション系幼稚園からピアノは全て個人教授でしたが、今考えればヤマハの音楽教育を受けたかった、、、、具体的には一時期世界を震撼させた「JOC=ジュニアオリジナルコンサートの凄まじさ」です。今日此処出身の大家として自分が心底惚れ抜いている「大島ミチル様」等がおられ、驚かされるのは「城之内ミサ 大島ミチル 中村由里子 西村由紀江 国府弘子 中村幸代」等など、今や世界をときめく日本が誇る世界一の女性クリエーター全てが「ヤマハと深い関係が在る」のです。おそらくは当時の大親父「川上源一と言うすさまじく恐ろしいまでの男」の存在が大きかった。当時自分が徹底リサーチした結果解った事は 「ヤマハの音楽教育の基本理念は、メロディーの動きよりハーモニー どちらかと言えば対位法より和声法?」と言えるのかもしれません。なるほど過去クラシックの大家大巨匠は努めてハーモニーを勉強し、シューベルトなどは大天才ゆえ遂に対位法を学び損ねたにも関わらずあれだけの名曲傑作を創れたのは間違い無くハーモニー=和声法を身に付けていたからだと。此処から導かれる一つの仮説は「大村雅朗さんにしろ船山基紀さんにしろ、ヤマハと言う素晴らしい環境に身をおいていたからこそ、極自然に学び取っていったと推測されるのです。こんなに凄いのなら何故自分はヤマハで学ばなかったのか、、、、本当に悔やまれます。特に「船山さんは、全て独学で学んだ」と言われるが、実はそんなに甘いものでは無くどうしても基礎を基本を学ばねばならないのが、特にアレンジャーと言われる「音楽的技術者」です。アレンジとは? 技術、テクニックです。此処が単なる「旋律作者 メロディメーカーとの相違」ですね。過去小林亜星は「作曲ばかりやっていると編曲が下手になり、編曲ばかりしていると作曲が下手になる」と。これは確かな事でも過去のクラシックの大家は全て「作曲家であり編曲家であり奏者」でしたが、やはり20世紀には分離しましたね。当然アレンジには「その時代を反映した音、サウンド、テクニック」が存在し、過去名作者とした方でも現在は古臭くて使い物にならないっと言う方もおられます。特に近年「PT=プロツールスの使用から、過去の経験が全く役立たない」とも聞かれますが、まぁこれも正直相当おかしい話で、これはレコーディングの課題でありサウンド本来の話では無い。この話は結局PTの持つ特性と言うかクセ、弱点を他人転嫁する様な物でしょう? 遠近感エクスパーティヴがぼやけるとか、音を重ねすぎると濁るとか、、PTにアレンジを合わせるってぇおかしいですよね。まぁ大村さんも船山さんもこういった事を知った上で(大村さんの頃はまだPTもせいぜいSTの頃だったか)作業しておられたのでしょう。
    今回、サイトヘッド様よりご紹介いただいた大村雅朗さん、今後も勉強させて頂きます。
    ご指導有難うございました。  敬具

    • MIYA TERU より:

      コメントありがとうございます。ご指摘の通り、大村雅朗さんは船山基紀さんとYAMAHAにものすごく縁のあるお方です。大村さんは船山さんに福岡から上京時、事務所探しから何までお世話になったそうです。

タイトルとURLをコピーしました