なんでコレなの?他にもあるだろ!という声の中・・・今回は敢えて、昭和特撮の中でもカルト的な人気を誇る、1976(昭和51)年の東映特撮番組「ザ・カゲスター」を取り上げます!
「ザ・カゲスター」
1976年(昭和51年)4月5日〜11月29日
NET(現テレビ朝日)
毎週月曜日19時00分 – 19時30分
全34話
NET/東映/大広
いろいろイっちゃってる「ザ・カゲスター」
百聞は一見にしかず。まずは、動いているところをご覧ください。(残念ながらOPではなくED)。
スター!スター!!カゲスター/水木一郎、コロムビアゆりかご会 https://t.co/qQT3yTSqlc
— 特撮ソングbot (@tokusatsubot_1) October 5, 2019
…どうですか、お客さん!
まず何と言っても特長は、主役のカゲスターと、ペアで活躍するヒロイン、ベルスターの「エキセントリック」なデザイン。
▲もはや不審者
▼乗ってるバイクもド派手
▼飛行機もコレ!
デザイナーはクスリでもキメてたんではないか?と疑いたくなります。「カゲ」がモチーフなのに、なぜに星条旗、なぜに渦巻き…?
私は小学生当時、最初に雑誌「てれびくん」かなにかで「もうすぐ登場する新ヒーロー!」と紹介された際、文字通りギョツとしました。
…目がコワイ。コワ過ぎます。
しかし動いてるところを観ると、不思議とカッコよく思えてくるから不思議(特撮あるあるですね)。特に意味もなくアメリカ風味のマントを使ったクルクルアクションなどイチイチ独特で、なんともクセになる魅力がありました。
宙明サウンド炸裂!の主題歌
OP「輝く太陽カゲスター」
作詞:八手三郎/作曲:渡辺岳夫/編曲:松山祐士
歌:水木一郎
ED「スター! スター!! カゲスター」
作詞:八手三郎/作曲:渡辺岳夫/編曲:松山祐士
歌:水木一郎、コロムビアゆりかご会
カゲカゲカゲ、カゲスター!渡辺宙明さんならではの、ノリノリでキャッチーな名曲。作詞は平山P自ら手がけておられます。
ストーリー
白蝋魔人の一団に誘拐された風村コンツェルンの令嬢・鈴子と、その秘書・姿 影夫は、隙を見てアジトから脱出に成功する。だが逃げる途中で2人は誤って崖から転落、高圧電線に触れてしまった。
そのとき、電気ショックによって悪を憎む2人の心が影に宿り、カゲスターとベルスターの2人の超人が誕生!
2人はカゲスターとベルスターの力で、悪と戦うことを決意。私利私欲で人々を苦しめる犯罪者たちを次々と倒してゆくと、彼らの背後にドクター・サタン率いる巨大組織「サタン帝国」の存在が浮き彫りとなる。
カゲスターとベルスターは、世界征服を目論むサタン帝国の怪人たちに敢然と立ち向かうのです。
男女雇用機会均等ヒーロー
大きなお友だちには、ベルスターのミニスカアクション、確信犯的なパンチラの連発が大人気。演じていた早川絵美さんは、少林寺拳法が特技で、後に「特捜最前線」(テレビ朝日)での共演が縁で、アカレンジャー・誠直也さんと結婚されました。
ベルスターのスーツアクターも担当した早川絵美さんは後年「自分はテニスウェアだと思ってるから平気なんですけど、見ていると強烈らしくて、視聴者のお母様から結構叱られました」とコメントしています。
そして、その設定はというと・・・前年に放送された「仮面ライダーストロンガー」から継承?された、男女ペアの変身ヒーロータッグ。そしてベルスターは社長令嬢、社員であるカゲスターの上司という設定がポイントです。
まさに戦う男女雇用機会均等法、特撮界のウーマン・リブ運動!高度成長モーレツ時代のサラリーマンの悲哀すら、感じさせるのであります。
主人公の姿景夫を演じたのは、「ジャンボーグA」で立花ナオキを務めた立花直樹さん。
ウルトラマンのムラマツキャップ、仮面ライダーのおやっさんこと立花藤兵衛役で知られる小林昭二氏が、屯田警部役を演じていました。
生みの親は石ノ森章太郎・・・じゃない!
私はこの「ザ・カゲスター」を長い間、生みの親は当然、石ノ森章太郎先生・・・だと勘違いしていましたが・・・。
実はこの「ザ・カゲスター」、「八手三郎原作第1回作品」なのだそうです。
八手三郎とは、東映のプロデューサー、平山亨氏のペンネーム。
平山氏曰く
「もともとはアニメ企画が実写になった」
「変身じゃなく、分身」
「敵がぬいぐるみじゃないのをやりたかった。だから敵は罪を犯した人間にした」
「キャラデザは野口竜さん。すごく強烈で怖い、化け物みたい。そのせいもあって、『化け物が人間をいじめてるように見える』と言われて困った」と語っています。
デザインは野口竜さん
本作の奇抜過ぎるデザインは、後に「宇宙刑事シリーズ」などで怪人デザインを多数手がけた、野口竜さんの手によるもの。野口さんの東映特撮初参加作品でした。
野口さんはスタジオ・ゼロで石ノ森章太郎さんのアシスタントを務め、コミカライズを手掛けた「スーパーロボット レッドバロン」で特撮デザイナーデビュー。カゲスターの後は、「恐竜大戦争アイゼンボーグ」「電子戦隊デンジマン」「太陽戦隊サンバルカン」「宇宙刑事シリーズ」などに参加。
1990年代からはゲーム界にも進出し、「バイオハザード」「鬼武者」などのビジュアルワーク(クリーチャーデザイン、美術デザインなど)を手掛けられました(2012年、68歳没)。
野口さんは後年、このカゲスターについて
「従来のヒーローとは違った斬新なデザインにしようと随分と凝りました」
「仕事のシステムが今(1985年)とは違い、他のスタッフと会うことも少なかった」
とコメントされています。
カゲロベェの恐怖
カゲスターのもう一つの記憶が、このカゲロベェが不気味で怖かったこと。
カゲロベェは、カゲスターとベルスターが自らの影から出現させる「意思を持つ影」。
言葉を話すことができ、カゲスターを「親分」、ベルスターを「姐御」と呼ぶ(cv沢りつおさん) など、コミカルなキャラなのですが、なかなかの不気味さで、トラウマになったチビッコも多かったと思います・・・。
頭の模様を外して投げると5体のカゲロベェが現れて敵を攻撃する「五段分身」という技や、遠い場所にいるカゲスターを自分の位置まで呼び寄せる「カゲ戻し」などがありました。
いかがでしょうか。今回はキャラデザイン、設定などなどマンネリ化しつつあった特撮ヒーローの中でも特に独創的で、強烈に記憶に残った異色作、「ザ・カゲスター」を取り上げました。
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