追悼「田中邦衛」さん~1981-2002「北の国から」名場面集

※当サイトで掲載している画像や動画の著作権・肖像権等は各権利所有者に帰属します。

ID:10499

TVドラマ
スポンサーリンク

俳優の田中邦衛さんが2021年3月24日、老衰のため、88歳でお亡くなりになりました。

田中邦衛さんといえば、なんといっても1981年から21年も続いた「北の国から」の黒板五郎。

私自身、時系列を無視して何度も再放送で観ていたため、どれがどの話だかよくわからなくなってしまい・・・そこで今回は「北の国から」SPの年代別のあらすじを、名場面と共にご紹介します。

 

「北の国から」以前の田中邦衛さん

 

田中邦衛さんは、「どうしようもなくセコくてズルい悪役」が見事にハマる、“超個性派の脇役キャラ“でした。黒板五郎としての田中邦衛さんしか知らない方は、

 

●東宝「若大将シリーズ」(1961年〜)
無敵の二枚目「若大将」こと加山雄三さんに対抗し、プレイボーイを気取るもまったくサマにならずに周囲に失笑される「青大将」

●東映「仁義なき戦いシリーズ」(1973年〜)
どうしようもなくズルくてビビり、そのくせカッコつけたがる「槙原政吉」

などの役どころを見たら、ビックリすると思います。

 

国民的ドラマ「北の国から」とは

 

フジテレビ「金曜劇場」枠で、1981年10月9日から2クール(半年間)、毎週金曜日22時から全24回が放送された後、「ドラマスペシャル」としてシリーズ化。

 

SP番組は計8編が1983年~2002年まで21年間の長きにわたって放送され、その都度、大きな話題を呼びました。

 

北海道富良野市麓郷地区を舞台に、雄大な自然の中で田中邦衛さん演じる主人公・黒板五郎と、2人の子どもの成長を長期にわたって描く「ヒューマン(ドキュメンタリー)ドラマ」です。

 

この作品の魅力は、私は「気まずさ」にあると思います。

 

その「気まずさ」とは、人が生きて行く上で、綺麗ごとや善し悪しだけで片付けられない、どうしようもない感情や行動を目の当たりにした時の「気まずさ」。

 

登場人物たちはみな、懸命に普通の日々を生きているだけなのに、すれ違ったり傷つけあったり、嘘を重ねたり騙したりするんですよね。

 

それがなんとももどかしくて、切ない。見たくないのに、気になって見てしまう。そんなドラマだと思います。

 

主題歌「北の国から〜遥かなる大地より〜」さだまさし

 

さださんが倉本聰さんの富良野の自宅に呼ばれ、連続ドラマ版の第1回と第2回のビデオを見せられ、その場で作曲を依頼されました。さださんは即興でメロディを口ずさみ、わずか10分ほどでメロディラインが完成したそうです。

 

さださん曰く「僕が作った曲の中で一番素晴らしいのは『北の国から〜遥かなる大地より〜』です。なにしろ、すべての詩が『あ』と『ん』だけで表現されてますから! こんなに楽で完成度の高い曲は、もう一生書けないでしょうね(笑)」

 

テレビドラマ「北の国から」(1981)

原作/脚本 倉本聰
プロデューサー 中村敏夫/富永卓二
放送期間 1981年10月9日 – 1982年3月26日
放送時間 金曜 22:00 – 22:54「金曜劇場」
全24回

平均視聴率14.8%

 

フジテレビ連続ドラマ「北の国から」が始まったのは、1981(昭和56)年10月9日。まだビデオデッキが家庭に普及していない当時、裏番組に山田太一脚本のTBS「想い出づくり。」があるため、作品の評価とは裏腹に序盤は視聴率が伸び悩みます。しかし12月に「想い出づくり。」が先に終了し、翌1月の「母と子の別れ」回で視聴率が跳ね上がり、最終回は20%を突破しました。

 

視聴者からの反響も高く、当初予算を大きく上回った制作費への批判もかき消されますが、予算を管理するプロデューサーの中村敏夫さんは心労から二度も入院したと言われています。

 

東京のガソリンスタンドで働く黒板五郎(田中邦衛)は女にだらしがなく、仕事も長続きしない。
交際相手を孕ませ「一発屋の五郎」と呼ばれる。

 

妻の玲子(いしだあゆみ)の浮気を契機に、息子の純(吉岡秀隆)と螢(中嶋朋子)の養育権を持ち、無一文同然で北海道富良野の麓郷に帰郷。

 

五郎は生家を修復、生活を始めますが、幼馴染みの中畑和夫(地井武男)以外にほぼ歓迎されません。さらに自宅は電気もガスも通っておらず、都会暮らしに慣れた幼い子どもたちは、そこでの生活になかなか馴染むことができません。

 

五郎は令子と正式に離婚、その直後に死別。その後も五郎は独り身を貫き、自分を慕う令子の腹違いの妹・雪子(竹下景子)も遠ざけます。

 

北村草太(岩城滉一)は「五郎おじさん」と慕う好青年で、純と蛍のよきアニキ分。しかし雪子を巡っては五郎の恋敵でした。草太は男を上げるため一度は断念したボクサーとして再起を目指しますが、KO負けして夢破れます(この試合シーンはガチだったとか)。

 

<名場面>

●東京から2人に会いに来た母親の見送りを拒んだ蛍との別れのシーン(17話)

●親切なおまわりさん(平田満)との靴探しシーン(23話)

 

ドラマSP①「北の国から ’83冬」(1983)

東京へ出稼ぎに出ていた五郎が、正月休みに富良野へ帰る。純の同級生の正吉(中澤佳仁)が家出し、黒板家で正月を迎える。

正吉の母みどり(林美智子)は幼馴染みの五郎に息子を預けたまま借金を残して逃亡。
お人好しの五郎はその借金700万円の肩代わりをすることになり、さらに困窮する。

 

<名場面>

●吹雪の中、雪の上に豆をまく松吉(笠智衆)。

 

平均視聴率26.4%(関東)

 

ドラマSP②「北の国から ’84夏」(1984)

夏休み、夫と死別した中畑の妹・ゆり子(立石凉子)が息子の努と共に麓郷へ。
努はパソコンを操り、純は時代に取り残された気がして焦る。

生意気な努は「オマエの親父は情けない」と言い放ち、純と口論に。
腹いせに正吉が努のパソコン雑誌を盗み純に渡し、それがもとで正吉と純もケンカする。

 

雪子は不倫相手が離婚し復縁を望んだため、東京へ。
努といかだ遊びをした純と正吉は見捨てて帰り、努は肺炎で入院。

純と正吉は失火で丸太小屋を全焼させるが、純は努の入院も火事もすべて正吉のせいだと罪をなすりつける。その後、正吉が母の元へ戻ることに。

<名場面>

●純が五郎に火事の原因が自分にあると告白するラーメン屋のシーン
かの有名な「子供がまだ食ってる途中でしょうが!!」

平均視聴率24.3%(関東)

ドラマSP③「北の国から ’87 初恋 」(1987)

中学3年生になった純は、大里家にある風車に興味を持ち自家発電を思いつく。
さらに大里家の娘、れい(横山めぐみ)に一目惚れ。

 

越境で市内の中学に通うれいと純は、雨宿り事件と尾崎豊(I LOVE YOU)で相思相愛の仲に。
しかしクリスマスの夜に実家の大里家の夜逃げが発覚、純の初恋は儚く散る。

 

純は単身、東京で働きながら定時制高校に通うことを決意。

<名場面>

●ラスト、古尾谷雅人演じるトラック運転手と純の「泥のついた1万円札」

平均視聴率20.5%(関東)

ドラマSP④「北の国から ’89帰郷」(1989)

東京で職に就き、実家へ送金までする純を誇りに思う五郎は、再び3人で暮らす家作りのために毎日丸太を削る。

 

しかし純は職を転々とし趣味のバイクが高じて悪い仲間ともつるむように。さらには五郎の「泥のついた1万札」を盗まれたことが原因で、傷害事件を起こす。

 

看護師になるため旭川の学校に通う螢(中嶋朋子)は、医者の卵(緒方直人)と心を通わせていました。

 

<名場面>

●東京で傷害事件を起こして帰郷した純は、五郎が入る風呂の湯を沸かしながら事件について話します。「大事なものをそいつに取られたから」という理由に、五郎は「男には戦わねばならんときがある」と事件をとがめることなく、何をしていても味方すると告げます。

 

平均視聴率33.3%(関東)

ドラマSP⑤「北の国から ’92巣立ち」(1992)

五郎は、旭川で看護師になる勉強を続ける螢の帰りを待ちわびる。

東京でガソリンスタンドの店員をしている純は、知り合ったタマ子(裕木奈江)と渋谷のラブホで行きづりの関係を持ち、妊娠させる。

 

タマコの父親に誠意をみせるため、五郎は丸太小屋を作るための丸太をすべて売り、今度は拾った石で家を作り始めるが、吹雪の中、五郎が屋根から足を滑らせて雪に埋まってしまう。

五郎は今まで身につけた知恵を使い、自力で生還する。

「これは運じゃねえ、あいつが自分で生きたンだ。雪から身を守り、スコップの柄を削って燃やそうとした。お前ら若い者にこんなマネができるか」(草太)

 

<名場面>

●カボチャを差し出し謝罪する五郎に対するタマ子のおじ(菅原文太)の「誠意って、何かね?」

 

平均視聴率 前編32.2%/後編31.7%(関東)

 

ドラマSP⑥「北の国から ’95秘密」(1995)

富良野でゴミ収集の仕事をする純は、れいとの遠距離恋愛がうまくいかない中で小沼シュウ(宮沢りえ)と恋仲に。

 

札幌の病院で看護師をしている螢は病院を辞めたあげく、妻子ある男性と不倫関係に。

 

シュウは東京時代、ヌード雑誌やAV出演の過去があり、それを知った純はシュウを避けるように。
五郎は螢が妻子ある男性と駆け落ちしたことを、妻から聞かされ動転。

純と五郎は蛍のもとへ駆けつけ、五郎は蛍に「なんでもいいんだ。もういいとか悪いとかじゃなくて、自分に、正直に生きろ。何しようと、俺は味方だ」と告げる。

 

久しぶりにれいに連絡を取った純は、れいが結婚することを知る。

五郎に「人間長くやってりゃ取れねぇ汚れもある。お前にもある。父さんなんか汚れだらけだ。そういう汚れはどうしたらいいんだ」と言われた純はシュウの過去を許し、仲直りする。

 

<名場面>

●冷えた夜に木の幹が割れる凍裂の音を聞きながらシュウが五郎に「昔のこと、消せる消しゴムがあればいいのに」と呟く

 

平均視聴率30.8%(関東)

 

ドラマSP⑦「北の国から ’98時代」(1998)

富良野でともに暮らす純はゴミ収集のベテランに。しかし恋人のシュウの実家に挨拶に行くも自分の仕事が気に入られず落胆。その直後、シュウは上砂川に連れ戻され遠距離恋愛に。意地になる純はシュウに連絡を取らない。

 

螢は不倫相手の子を身ごもったまま別れる。螢の妊娠を知った草太は正吉に「お前、結婚しろ。相手は蛍だ。結婚しろ。お前にとって黒板家は家族だ。最終的に家族を守ることがお前ら自衛隊にいたモンのつとめだベ。」と説得。

正吉は蛍に猛アタックし、自分の子として五郎に結婚の挨拶をする。

 

近ごろ金儲けに躍起になる草太に純が反感を抱き対立し、純は手伝いを拒否。
その夜、草太は独りで作業中に事故で亡くなる。

 

後悔の念にさいなまれる純は、草太が「螢は正吉と結婚することになったので安心した。純がとっても心配だ。純は自分にとって弟だ」と言っていたと知り、号泣。

 

<名場面>

●庄吉から蛍との結婚を告げられた五郎が亡き妻、令子の写真の前で号泣。

 

平均視聴率 前編25.9%/後編24.8%(関東)

 

ドラマSP⑧「北の国から 2002遺言」(2002)

亡くなった草太の牧場を継いだ純と正吉は、草太が作った借金のため、1年あまりで破綻、借金返済のため2人は富良野を離れます。

 

五郎は蛍の子、快と過ごすことが一番の楽しみ。

 

羅臼の廃棄物処理場で働く純は、シュウが結婚すると五郎経由で知ります。
純は高村結(内田有紀)と出会います。

 

消息の分からなかった正吉から蛍のもとへ手紙が届き、蛍は快を連れて正吉と暮らすことを決意。
別れの日、五郎は五郎は人目もはばからず別れを惜しみ、悲しみました。

 

そして純と結は結婚し、五郎と三人で暮らすことに…。

 

完成した五郎の遺言には「純、蛍に遺すべきものはもう伝えた氣がする。金を望むことなく、倖せだけをみろ。自然から頂戴し、謙虚につつましく生きろ」と書き記されました。

 

平均視聴率 前編38.4%/後編33.6%

 

 

謹んでご冥福をお祈りいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました