今回は1972(昭和47)年に放送されたアニメ「ド根性ガエル」。
ひろしのメガネはサングラス?五郎の目の周りはなぜ赤い?の謎にも迫ります。
「ド根性ガエル」
原作:吉沢やすみ
監督:岡部英二→長浜忠夫
キャラクターデザイン:小林おさむ、芝山努
音楽:広瀬健次郎
アニメーション制作:Aプロダクション
製作:朝日放送、東京ムービー
TBS系列 毎週土曜19:00-19:30
1972年10月7日 – 1974年9月28日
全103話
1972年と1981年の2度テレビアニメ化、CMなどでも数多く起用され、2015年にはなんと松山ケンイチ主演で実写テレビドラマ化。世代を超えて現在でも知名度が異様に高い作品です。
夕方5時台、再放送枠の定番
私の住んでいた福岡ではこの「ド根性ガエル」は平日夕方5時台、再放送枠の定番の一つでした。
「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「ルパン三世」「トムとジェリー」などと並んで、何回リピートされたのか・・・
この再放送が本作の人気を高め、80年代にとんねるずが主題歌を歌うリメイクが作られるきっかけとなりました。
平日夕方の「ローカル局の再放送枠のヘビロテ番組」は、例えば関西地方では「仮面ライダー」や「妖怪人間ベム」だったようですが、確かな記録がなく、よくわからないのです・・・。
原作vsアニメ
週刊少年ジャンプ(集英社)に1970年7月27日号から1976年6月14日号まで連載された、吉沢やすみ先生のマンガです。(単行本はジャンプコミックス 全27巻)
とはいえ本作は、原作のマンガよりもアニメ版の方が知名度が高く、人気もあります。
これはアニメの各キャクター造形(特に女の子キャラのかわいさ)と声、音楽がハマりにハマリ、同時期の東京ムービー作品の定番であるノンストップのドタバタ劇があまりに面白いからでしょう。
Aプロダクション(1976年よりシンエイ動画に改組)は「ムーミン」「天才バカボン」「ど根性ガエル」「元祖天才バカボン」など数々の名作の作画監督、演出を手がけた芝山努さんと、小林 治さんが作画監督を務め、監督が岡部英二さんと長浜忠夫さんですから、面白くならないわけがないですよね。
「平面ガエル」という奇想天外な設定
物語は主人公のひろしとゴリライモの決闘シーンから始まります。ヒロシが投げ飛ばされ転倒したところにカエルのピョン吉が運悪く下敷きになり、シャツに張り付いて世にも珍しい「平面ガエル」になります。
以降、東京の下町を舞台に、ひろしのガールフレンドの京子、後輩の五郎、番長のゴリライモ、教師生活25年の町田先生、美人教師のヨシ子先生、寿司屋の職人・梅さん、その恋敵・南先生などの登場人物を巻き込んでドタバタ劇を繰り広げる、「人情ギャグ漫画」です。
毎回2話から構成されるストーリーは1話では、平面ガエル誕生からそのせいで巻き起こるハプイニングが、いいこと・わるいことの両面から描かれ、あっという間に設定が完了。
2話ではカエル時代のガールフレンド・ピョン子ちゃんと平面ガエルとして生きることを決意したピョン吉の涙の別れが描かれ、とにかくスピード感に圧倒されます。
初回放送回から周囲は「平面ガエル」ピョン吉の存在を特におかしなこととは受け止めず、すんなり受け入れているところがスゴイです(笑)。
主要キャラと豪華声優陣
ひろし(野沢雅子)
主人公の活発で明るい少年を演じるのは、ご存じ野沢雅子さん。「一張羅」の白いタートルシャツにピョン吉が張り付いたため、基本的に体育や水泳でもピョン吉シャツは着たまま、下だけ体操着や海パンを着用するという荒業を見せます(洗濯時は下着のランニングシャツ姿もしくは私服のセーター着用)。
ピョン吉(千々松幸子)
なぜか黄色いカエル。ヘビが苦手。「ど根性!」のかけ声と共に飛び跳ね、ひろしを引っ張りまわす。洗濯されても、シャツの糸がほどけ、糸くず状になっても生きている(編み直すと元通り)。食事は自分で食べられないためひろしやひろしの母に食べさせてもらう。銭湯や温泉、海水浴やプールでもひろしに着られたまま、入浴や遊泳を楽しむ。声優の千々松幸子さんは「魔法使いサリー」のカブの人ですね。
五郎(高橋和枝)
ひろしを「センパイ」と慕う、同じ中学の後輩。一人称は「あっし」、語尾は「〜でやんす」。小さな体に赤いアイマスク?、学ラン・学生帽で、学生鞄を引きずって走り回る。下半身はグレーのタイツ状で靴まで一体化されており(さらには足のサイズが30cm)とよく考えると謎だらけのキャラ。高橋和枝さんは元祖カツオの人です。
京子ちゃん(栗葉子)
ひろしのガールフレンドで本作のヒロイン。名前は作者が当時ファンだった女優の吉沢京子からまんま拝借したのだそうです。栗葉子さんは「みなしごハッチ」のハッチ、「小さなバイキングビッケ」のビッケ役などで知られるお方です。
ゴリライモ(立壁和也)
本名:五利良イモ太郎(!)。ひろしと同じ中学の1年先輩(3年)。破れた学生帽に白地に赤で「ゴ」と書かれたシャツ、学生服に下駄履きのバンカラな番長。立壁和也さんは元祖ジャイアンです。
梅さん(原田一夫)
近所の宝寿司に住み込みで働く若い職人。鉢巻きと大きなアゴがトレードマーク。ヨシコ先生に惚れ、授業中に教室の窓に外から梯子をかけて登って覗くのが日課。カブで出前中、転んだり電柱にぶつかったりして寿司桶をひっくり返す。実は孤児で、クリスマスには幼い頃は育った施設「どんぐりの家」を訪れプレゼントを配っている。
ヨシコ先生(武藤礼子)
中学校の若い女性教師、もう一人のヒロイン。原作では国語、アニメでは英語担当。美人かつグラマー、生徒にもモテモテ。梅さん、南先生の熱烈なアタックを受ける。武藤礼子さんは「ムーミン」の初代ノンノン。
南先生(仲村秀生)
ひろし達の数学及び体育を担当。ヨシコ先生に惚れており、梅さんとは恋敵。プロ野球東京軍のナガツマ選手に外見がそっくりで、影武者を務めホームランを打ったことがある。仲村秀生さんは初代・力石徹のお方です。
町田先生(永井一郎)
白髪交じりの教師。「教師生活25年、こんな経験したことがない」と嘆くのが定番。永井一郎さんは説明不要ですね。
「ド根性ガエル」2大の謎!「ひろしのメガネ」と「五郎の顔が赤い」理由!
ひろしといえばオデコのメガネ。これは人気者だったフィンガー5のアキラなど70年代当時のファッションの影響かもしれませんが、中学生が常時オデコにサングラスとは異様です(笑)。
ちなみにこのメガネは、原作では「引っ越しした幼馴染の思い出の品」。アニメでは「死んだ父親の形見で、天国からいつでもひろしが見つけられるため」と、泣かせる秘密が描かれています。
もう一つの謎が、「~でヤンス」が口癖の五郎の目の周りはなぜ赤いのか?
これは作者である吉沢やすみさんが2016年にTBSラジオ「爆笑問題の日曜サンデー」に出演した際に、次のように語っています。
「実はこれはね、いちばん最初の読み切りの時から五郎は帽子をかぶってるんだけど、帽子の影みたいな感じで。あとほら、タヌキに結構イメージが似ているのね。そういう感じで黒であってね。それで、ど根性ガエルが先だってカラーページでやっても、黒だったんですよ。それがね、アニメになったら赤くなってて。あ、これ面白いんじゃないか?って(笑)」
なんと、もともとはタヌキのイメージでマンガでは黒だったと。それがアニメ化されたら赤になってて、その理由は吉沢先生も「わからない」「それでその後のジャンプのカラーページでは赤にしちゃった」んだそうです(笑)。
主題歌
OP「ど根性ガエル」
作詞:東京ムービー企画部 / 作曲・編曲:広瀬健次郎 / 歌:石川進・荒川少年少女合唱隊
ED「ど根性でヤンス」
作詞:東京ムービー企画部 / 作曲・編曲:広瀬健次郎 / 歌:石川進
あまりにも有名なOP&ED。歌っているのは最初の「オバケのQ太郎」でおなじみの石川進さんです。
コメント
コメントありがとうございます!原作読まれてるんですね!魔性の女が気になりますw
漫画の方で、もらったサングラスを返す(結局返さないけど)エピソードがあったのですが、それだけなぜか今でも覚えています。くに子ちゃんは魔性の女でした。