60年代にモノクロで放送されたテレビニメの歴史を、オープニング映像&主題歌と共に振り返るシリーズその②。
第2回は、数々の宇宙ヒーローが登場、ギャグアニメもスタートした1965-66(昭和40-41)年編です。
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- ⑧ スーパージェッター 1965/TBS /TCJ(現エイケン)
- ⑨ 宇宙エース 1965/フジテレビ/タツノコプロ
- ⑩宇宙少年ソラン 1965/TBS/TCJ(エイケン)
- ⑪ 遊星少年パピイ 1965/フジテレビ/TCJ(エイケン)
- ⑫ ワンダー3 1965/フジテレビ/虫プロダクション
- ⑬ オバケのQ太郎 1965/TBS/東京ムービー
- ⑭ ハッスルパンチ 1966/NET/東映動画
- ⑮ おそ松くん 1966/NET/スタジオ・ゼロ、チルドレンズコーナー
- ⑯ レインボー戦隊ロビン 1966/NET/東映動画
- ⑰ 海賊王子 1966/NET/東映動画
- ⑱ ハリスの旋風(かぜ) 1966/フジテレビ/ピー・プロダクション
- ⑲ 遊星仮面 1966/フジテレビ/エイケン
- ⑳ ロボタン(第1作) 1966/フジテレビ/大広プロ
- 21) 魔法使いサリー(第1作) 1968/NET/東映動画
⑧ スーパージェッター 1965/TBS /TCJ(現エイケン)
「スーパージェッター」
作詞 – 加納一朗 / 作曲 – 山下毅雄 / 歌 – 上高田少年合唱団
全52話
1965年1月7日~1966年1月20日 毎週木曜18:00~18:30
■あらすじ:30世紀のタイムパトロール隊員ジェッターは、悪人ジャガーを追跡中、事故により1000年前の時代に迷い込む。ジェッターは国際科学捜査局の西郷長官と協力、女流カメラマンの水島かおるとコンビを組み、20世紀の平和を守るべく戦うことになった。
日本テレビアニメ初の「原作を持たない」オリジナル・SFヒーローアニメ。現在、正式タイトルは「未来からきた少年 スーパージェッター」とされています。
前番組「エイトマン」同様、まだ売れっ子になる前の豊田有恒や筒井康隆、推理作家の加納一朗、山村正夫らが参加。考案された各種SF設定は、当時の子供たちを虜にしました。
主題歌を作曲した山下毅雄さんは、「七人の刑事」「プレイガール」「大岡越前」「佐武と市捕物控」「ルパン三世」(TV第1シリーズ)「クイズタイムショック」「霊感ヤマカン第六感」「パネルクイズ アタック25」など数々の名曲を残されています。
⑨ 宇宙エース 1965/フジテレビ/タツノコプロ
「星の炎に」
作詞 – やなせたかし / 作曲 – いずみたく / 歌 – 東京混声合唱団、みすず児童合唱団
全52話
1965年5月8日~1966年4月28日 毎週土曜 18:15~18:45
■あらすじ:人が住めなくなり、爆発四散したパールム星。パールム星人たちは宇宙船団を組んで脱出し、新しい星を探す旅に出た。航行中の宇宙船団からはぐれてしまい、21世紀の地球にやってきたパールム星人の王の息子・エースは、平和を守るため、勇気と知恵と特殊能力で、悪人や怪物たちに立ち向かう。
タツノコプロ(当時は竜の子プロダクション)のアニメ作品第一号。後に多くの傑作を生み出すタツノコプロ全作品の原点であり、放送と並行して吉田竜夫による同名の漫画作品が「少年ブック」に連載されていました。
なんと主題歌は「手のひらを太陽に」、そして後の「それゆけ!アンパンマン」の、やなせたかしさん&いずみたくさんコンビによるものです。
⑩宇宙少年ソラン 1965/TBS/TCJ(エイケン)
「宇宙少年ソラン」
作詞 – 安井かずみ、いずみたく / 作曲 – いずみたく / 歌 – 上高田少年合唱団
全96話
1965年5月4日~1967年3月28日 毎週火曜19:00~19:30
■あらすじ:反陽子爆弾の開発者・立花博士は、悪用を恐れ妻子とともに地球を脱出するも、事故に遭遇。立花博士は子供をカプセルに入れ、宇宙空間に漂流させた。地球の15倍の重力を持つソラン星住人により救助された少年は「ソラン」と名付けられ、サイボーグ化され、生き別れの姉を探しながら、驚異のパワーで悪と闘う。
手塚治虫と横山光輝に師事した宮腰義勝さんが原画。原作を使用せず、のちに航空ミステリーで有名になる福本和也さんをリーダーとする、日本推理作家協会の作家チーム(加納一朗、辻真先、藤村正太ほか)ら、豪華脚本陣のオリジナル作品です。
本放送時は森永製菓の一社提供。タイアップも強力で「チョコボール」の原点である「チョコレートボール」(1965発売)のパッケージには、ソランのリスのキャラクター・チャッピーが描かれていました。
⑪ 遊星少年パピイ 1965/フジテレビ/TCJ(エイケン)
「遊星少年パピイ」
作詞・作曲 – 三木鶏郎、歌 – デューク・エイセス
1965年06月03日~1965年12月23日 毎週木曜19:00~19:30
1965年12月31日~1966年05月27日 毎週金曜19:00~19:30
■あらすじ:野蛮で戦争や犯罪の絶えない地球を警戒するクリフトン星の少年パピイは、地球人に姿を変え、牧場に住む少女リコの家に移り住む。次々と起こる凶悪事件にパピイは通信機兼用ペンダント・メタライザーを手に立ち向かう。
TCJ (現・エイケン)制作のテレビアニメ。並行して、井上英沖による漫画作品が「少年」(光文社)で連載されていました。
第31話までは毎週木曜19:00で、「鉄人28号」に続く江崎グリコ提供「グリコ劇場」枠の第2作。そのため鉄人28号と同様、オープニングと主題歌の最後に「グリココール」が入っていました。
⑫ ワンダー3 1965/フジテレビ/虫プロダクション
「ワンダースリー」
作詞 – 北川幸比古 / 作曲 – 宇野誠一郎 / 歌 – ボーカル・ショップ、白石冬美、近石真介、小島康男
全52話
1965年6月6日~1966年1月30日 毎週日曜19:00~19:30
1966年2月7日~1966年6月27日 毎週月曜19:30~20:00
■あらすじ:196x年、相変わらず無益な戦争を繰り返す地球を懸念した銀河連盟は、「W3(ワンダースリー)」と呼ばれる銀河パトロール要員の3人ボッコ、プッコ、ノッコを地球に派遣して1年間調査、地球を残すか反陽子爆弾で消滅させるかを判断させることにした・・・
虫プロ初のアニメ・オリジナル作品。裏番組が「ウルトラQ」で、手塚先生の子供たちが裏番組「ウルトラQ」を見たがり、怪獣ブームに危機感を感じたというエピソードが有名です。また、当初連載された週刊少年マガジンとの間で揉め事が起こり、途中から週刊少年サンデーに掲載誌が変更になるという前代未聞の「W3事件」も知られています。
オープニングはスタッフおよび提供スポンサー(ロッテ)のテロップのあるタイプと、ないタイプの2種類が存在します。
⑬ オバケのQ太郎 1965/TBS/東京ムービー
「オバケのQ太郎」
作詞 – 東京ムービー企画部 / 作曲・編曲 – 広瀬健次郎 / 歌 – 石川進
全96話
1965年8月29日~1967年6月28日 毎週日曜19:00~19:30
■あらすじ:空を飛んだり消えたりはできるが化けられず、イヌが大嫌いなオバケのQ太郎が、大原家に住みついた事によって巻き起こるゆかいな大騒動。
これまで主流だったSFヒーローものが飽きられ、視聴率が低下した中で登場した藤子不二雄原作の「日本初のギャグアニメ」。
初回から視聴率30%以上の大人気となり、主題歌はミリオンセラーを記録、1966年第8回「日本レコード大賞童謡賞」を受賞。また声優の曽我町子が歌う「オバQ音頭」はレコード200万枚、スポンサーの不二家が行ったプレミアムキャンペーンでソノシート400万枚の大ヒットとなりました。
その超人気ぶりは、1967(昭和42)年に建った小学館本社ビルが「オバQビル」と呼ばれたほど。19:30からスタートする「ウルトラQ」のタイトルにも影響を与えたと言われ、TBSはこの「Q」2作で高視聴率をたたき出し、関連商品もバカ売れしました。
⑭ ハッスルパンチ 1966/NET/東映動画
「ハッスルパンチの歌」
作詞・作曲 – 小林亜星 / 歌 – 大山のぶ代、久里千春、水垣洋子、西六郷少年合唱団
全26話
1965年11月1日~1966年4月25日 毎週月曜19:30~20:00(後に19:00~19:30)
■あらすじ:熊のパンチ、鼠のタッチ、イタチのブンが、悪役であるガリガリ博士とドタバタを繰り広げるコメディ作品。
大丸デパート単独提供アニメ枠「大丸ピーコック劇場」で放送。主人公パンチの声は、アニメ・デビュー作となる大山のぶ代さんでした。巨匠アニメーター森やすじ氏が、東映動画(現・東映アニメーション)在籍中に原案を提供。
パンチ、タッチ、ブンの主要キャラクターは、人気アメリカテレビ映画「アンタッチャブル」をもじって名付けられ、日本におけるドタバタギャグアニメの元祖と言われています。
⑮ おそ松くん 1966/NET/スタジオ・ゼロ、チルドレンズコーナー
「おそ松くんのうた」
作詞 – 赤塚不二夫 / 作曲 – 渡辺浦人 / 唄 – 六つ子(加藤みどり、山本圭子、北浜晴子、東美江)、イヤミ(小林恭治)、チビ太(田上和枝) セリフ – 松代(麻生みつ子)
全56話
1966年2月5日 ~ 1967年3月25日 毎週土曜19:30~20:00
■あらすじ:おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松は見た目そっくりな六つ子の兄弟。ケンカっぱやいチビ太、おフランス帰りを自慢するイヤミなど、ユニークなキャラクターが繰りひろげるドタバタ日常もの。
小学館「少年サンデー」連載、赤塚不二夫のギャグ漫画をアニメ化。毎日放送のテレビアニメ初参入作品、在阪局初の自社制作テレビアニメでもあります(当時、毎日放送はNET(現:テレビ朝日)とネットを組んでいた、いわゆる腸ねん転解消前でした)。
本作は「天才バカボン」よりも前で、赤塚不二夫さんのギャグマンガとしての地位を確立した作品です。子供たちの間で「シェー」の一大ブームを巻き起こし、この頃の写真の子供たちは、ほぼ全員が「シェー」ポーズで写っています。
⑯ レインボー戦隊ロビン 1966/NET/東映動画
「レインボー戦隊ロビン」
作詞 – 飯島敬 / 作曲 – 服部公一 / 歌 – レインボーハーモニー
全48話
1966年4月23日~1967年3月24日 毎週土曜20:00~20:30(37話以降19:30~20:00)
■あらすじ:星の寿命があと2年に迫った逆銀河系パルタ星の皇帝は、強硬な地球侵略を開始する。十数年前に地球にスパイとして潜入したパルタ人科学者のポルト博士は地球人女性すみ子との間に生まれた少年ロビンをロボットたちに託していた。やがて己の使命を知ったロビンは、両親が残した6人のアンドロイドと「レインボー戦隊」を結成。パルタ星の侵略から地球を守るために戦う。
「創作集団スタジオ・ゼロ」が原案を提供した大人気SFアニメ。「里見八犬伝」「キャプテン・フューチャー」「七人の侍」などをヒントに、キャラデザを石ノ森章太郎、藤子不二雄で分担。設定とシノプシスにはつのだじろう、鈴木伸一さんらも参加しています。
⑰ 海賊王子 1966/NET/東映動画
「海賊王子」
作詞 – 吉野次郎 / 作曲 – 服部公一 / 歌 – 友竹正則、上高田少年合唱団
全31話
1966年5月2日~1966年11月28日 毎週月曜19:00~19:30
■あらすじ:カリブ海の島に住む少年キッドは、育ての親が死んだ際に自分がかつて7つの海を制覇した海賊王・モーガンの息子である事を知る。少女パール・長老クラップ達と共に愛船ハリケーン号で世界の海へと出発したキッドは、敵の海賊・虎フグと戦いながら世界の海を旅していく。
「ピーター・パン」「シンドバッドの冒険」などに影響を受けた、東映動画初の海洋冒険アニメ。石ノ森章太郎原案で、古谷徹さん(当時12歳)は、本作がデビュー作・初主演作です。
⑱ ハリスの旋風(かぜ) 1966/フジテレビ/ピー・プロダクション
ハリスの旋風/ガチャトリアンズ
「ハリスの旋風」OP(1966/05/05~1967/08/31、フジテレビ) pic.twitter.com/4sZKhqRAgY— 昭和アニソンbot (@animesongbot_1) December 30, 2020
「ハリスの旋風」
作詞 – いしいたもつ / 作曲・編曲 – 淡の圭一 / 歌 – ガチャトリアンズ
全70話
1966年5月5日~1967年8月31日 毎週木曜19:00~19:30
■あらすじ:石田家の長男・国松は、手のつけられない乱暴者。さまざまな学校で退学を繰り返しつつ、一家揃って東京に引っ越してきた。名門・ハリス学園長に運動神経の良さを認められ転入した国松は、野球部、剣道部、ボクシング部、サッカー部で大活躍。次々に大会優勝に導く。
「あしたのジョー」で知られるちばてつやの学園漫画をアニメ化。後に「スペクトルマン」など一連の特撮番組を手がけた、うしおそうじ氏率いるピー・プロダクション作品。
タイトルの「ハリス」は、スポンサーのハリス食品(現・カネボウフーズ)に由来。1971(昭和46)年にはスポンサー契約が終了しており、「国松さまのお通りだい」としてカラーでリメイクされました。
「どんが、どんが、どんがらがった」で有名な主題歌ですが、メロディが違いますね。
>ピー・プロダクションについては別記事で詳しく解説しています。
⑲ 遊星仮面 1966/フジテレビ/エイケン
「遊星仮面」
作詞・作曲 – 三木鶏郎 / 歌 – デューク・エイセス、藤田淑子
全39話
1966年6月3日 ~1967年2月21日 毎週金曜19:00~19:30(32話から火曜19:30~)
■あらすじ:21世紀、太陽をはさんだ反対側に発見された惑星ピネロンと地球に友好が結ばれ、絆の証として「宇宙結婚」による第1号の子供ピーターが誕生する。15年後、不幸にも戦争状態となる地球とピネロンの戦いを阻止せんとピーターは「遊星仮面」として活躍する。
本作は漫画原作のない、エイケンオリジナルアニメ作品の第1弾。「サザエさん」で演出を手がける岡田宇啓氏も作画を担当しました。
「人呼んで、遊星仮面!」のオープニングは、後に散々パロディになって有名です。主題歌の歌い出し「戦争をやめろ!」は強烈ですね。
⑳ ロボタン(第1作) 1966/フジテレビ/大広プロ
「ロボタンの歌」
作詞 – ロボタン企画グループ / 作曲 – 小倉靖 / 歌 – 古今亭志ん朝、ボーカル・ショップ / 台詞 – 神戸瓢介(ロボタン)、中里ひろみ(ボッチ)、中森孝子(キーコ)
全104話
1966年10月4日~ 1968年9月27日 毎週火曜日19:00~19:30(14話から金19:00~)
■あらすじ:「世界珍品展覧会」に陳列されていた明治生まれのロボット・ロボタン。青空家はロボタンを買い取り、息子・カン太の親友となる。旧式だがバナナが大好きで空を飛び、胸のスーパー磁力で何でも吸い付けるロボタンは人気者。
当時、江崎グリコが「鉄人28号」に代わる新たなキャラクターを探していたところ「オバケのQ太郎」の大ヒットに目を付け、企画されました。大阪に拠点を置く広告代理店「大広」が企画製作を務め、ほとんどすべての制作作業を大阪のスタジオやアニメーターが担当したとされる異色作です。
キャラクターデザインは、当時「丸出だめ夫」で人気を博していた森田拳次氏。テレビと連動して「少年画報」(少年画報社)にコミカライズ版も連載されていました。
エヴァの庵野監督が受勲の際に本作を引き合いに出し、話題になりました。
21) 魔法使いサリー(第1作) 1968/NET/東映動画
「魔法使いサリー」
作詞 – 山本清 / 作曲 – 小林亜星 / 編曲 – 山本健司 / 歌 – 朝川ひろこ
1966年12月5日~1968年12月30日 毎週月曜19:00~19:30
全109話
■あらすじ:おてんばでいたずら好きな魔法使い・サリーが弟の株と二人、人間世界での暮らしを通して、魔法よりも大切なことを知っていく物語。
集英社の少女漫画雑誌「りぼん」に連載された原作漫画は、横山光輝作です。アメリカの人気ドラマ「奥さまは魔女」のヒントを得た、記念すべき日本初の少女向けアニメであり、東映動画「魔法少女シリーズ」第1作。18話からはカラー化され、日本教育テレビ(NET)初のカラー番組となりました。
2年にわたり109話放送された後も何度となく再放送され、1989年には再アニメ化もされるほど愛された大ヒット作品です。
主題歌は小林亜星さんが作曲したデキシーランドな名曲。レコードは30万枚を売り上げ、これは日本コロムビアの当時の子供番組主題歌の新記録でした。
>③に続きます!
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