名前は知らなくとも、楽曲は絶対知っている。
菊池俊輔さんは「仮面ライダー」「ゲッターロボ」「ドラえもん」「ドラゴンボール」「暴れん坊将軍」「Gメン’75」などを手がけた偉大なる作曲家です。
1970〜80年代の「テレビまんが」主題歌の歌手四天王が水木一郎さん、子門真人さん、ささきいさおさん、堀江美都子さんだとすると、作曲家では菊池俊輔さんと渡辺宙明さんが両巨頭です。
昭和のアニメ、特撮の音楽は、シンセサイザーもない当時、オーケストラの生演奏で収録されていました。そこに西部劇、ロック、ジャズなど、その時代の最先端の音楽が組み込まれ、日本独自に発展していったジャンル。
中でも菊池俊輔先生は、手がけた楽曲の数とジャンルで圧倒的な仕事量を誇ります。
菊池俊輔さんの略歴
菊池俊輔先生は1931年(昭和6年)生まれ青森県出身。日本大学芸術学部卒業後、木下忠司氏に師事。
「キャシーン」「ゲッターロボ」「仮面ライダー」など激しいブラスで始まる神イントロ、「タイガーマスク」「暴れん坊将軍」「ドラゴンボール」などリズミカルで疾走感が特長である一方、「みなしごのバラード」(タイガーマスク エンディング)や「Gメン75」など心に染みるメロディーも得意。さらには「ドラえもん」などの朗らかな明るい曲まで、映画、ドラマ、アニメ、特撮の主題歌やBGMを1,000曲以上作曲。
その人気と知名度は海外でも高く、JASRACが毎年発表している「海外での音楽使用料ランキング」において、菊池先生のアニメ音楽が過去30年で7回、1位になっているのだとか。
2012年には作曲家生活50年を記念した大全集CD-BOXが発売され、
2017年には生誕86年・作曲活動55年記念コンサートが開催されました。
菊池俊輔作品集
■映画音楽
海底大戦争
黄金バット
昭和残侠伝シリーズ
子守唄シリーズ
兄弟仁義シリーズ
ガメラシリーズ
女囚さそりシリーズ
女必殺拳シリーズ
けんか空手シリーズ など
『女囚さそりシリーズ』の主題歌「怨み節」(1973)は後年、ハリウッド映画『キル・ビル』でも使用されました。
■テレビドラマ
キイハンター (1968)
非情のライセンス(1968)
江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎 (1970)
なんたって18歳! (1971)
刑事くん(1974)
赤いシリーズ(1977-)
Gメン’75(1975)
暴れん坊将軍 (1978)
スクール☆ウォーズ(1984)
■アニメ作品
宇宙パトロールホッパ(1965)
タイガーマスク(1969)
バビル2世(1973)
新造人間キャシャーン(1973)
侍ジャイアンツ(1973)
ミラクル少女リミットちゃん(1973)
ゲッターロボ(1974)
破裏拳ポリマー(1974)
てんとう虫の歌(1974)
ゲッターロボG(1975)
ラ・セーヌの星(1975)
大空魔竜ガイキング(1976)
ドカベン(1976)
惑星ロボ ダンガードA(1977)
氷河戦士ガイスラッガー(1977)
闘将ダイモス(1978)
SF西遊記スタージンガー(1978)
ドラえもん(1979)
Dr.スランプ アラレちゃん(1981)
忍者ハットリくん(1981)
タイガーマスク二世(1981)
オバケのQ太郎(1985)
ドラゴンボール(1986)
などなど。
アニメだけでなくすべての番組で主題歌だけでなくエンディング、劇伴と呼ばれる挿入歌、BGMまですべてご担当されてることを考えると、その多作ぶりは人間業とは思えません。
実写ものでは、
■昭和の仮面ライダーシリーズ
仮面ライダー(1971)
仮面ライダーV3(1973)
仮面ライダーX(1974)
仮面ライダーアマゾン(1974)
仮面ライダーストロンガー(1975)
仮面ライダースカイライダー(1979)
仮面ライダースーパー1(1980)
はすべて、菊池先生が担当。
さらに昭和の
■特撮番組
としては、
アイアンキング(1972)
超人バロム・1(1972)
変身忍者 嵐(1972)
ロボット刑事(1973)
ジャンボーグA(1973)
鉄人タイガーセブン(1973)
電人ザボーガー(1974)
宇宙鉄人キョーダイン(1976)
冒険ファミリー ここは惑星0番地(1977)
宇宙からのメッセージ銀河大戦(1978)
から、
クレクレタコラ(1973)
がんばれ!!ロボコン(1974)
5年3組魔法組(1976)
まで、多岐に渡ります。
どうですかこのラインナップ。国民栄誉賞、人間国宝にならないのがオカシイです。
2018年現在、御歳87歳。病気療養中と言われていますが、益々のご活躍を期待したいものです。
完
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コメント
拝啓 サイトヘッド様には毎度お騒がせいたしお詫びと共によろしくお願いいたします。
*「俊輔節とは? 一体何か?」
サイトヘッド様は「菊池俊輔さんが大変お好き」のご様子で嬉しく思います。自分も好きな作曲家のおひとりです。最初にお名前を覚えたのは1960年代「東映アニメの宇宙パトロールホッパ=宇宙っ子ジュン」でした。その後1970年代にやはり東映アニメやTTP=東映TVプロ等のアニメや実写ドラマ作品で多数お耳にかかり、色々とリサーチいたしましたら「日大芸術学部卒=森田公一氏も同様」であり、お師匠は大家「木下忠司先生」と判明。やはりきちんとした音楽の基礎基本を学ばれ、更に「SSW=シンガーソングライターの祖先 大家木下忠司先生に弟子入り」と言うのが凄い、、、、この木下忠司先生とはもう何度もインタヴューや取材をお願いし、最後にはきさくに「大石君っ」等と呼んでいただきまして、何か「極末端、どん尻のお弟子もどき?になれた」様で本当に嬉しかった、、、、此処で「菊池俊輔さんと木下忠司先生の知られざる共通点」なのですが、もうサイトヘッド様もお解りの通り「奇麗で覚えやすく印象深いメロディー最優先」路線です。お師匠木下先生は常々「音楽の3要素=メロ、リズム、ハーモニーの中でメロこそ一番大切」と。やはり菊池俊輔さんもお師匠様の指導通り、とにかく奇麗で印象的なメロディーを創って下さいました。正直こうした「多作の方」ってぇやはり「主題 テーマ、モティーフ等の類聚や酷似」等がどうしても現れてしまい、「一聴して、あっこれは菊池の俊ちゃんだっ」と解るのですこれはサイトヘッド様もご同様でしょうねぇ。非常に「特徴のあるメロディーであり、うーんっ鳴き(泣き)節? と言うのか、、日本的と言うか、極めて土俗的なある意味土臭い、、、懐かしい、、、そうっ古関祐二さんに近い音楽構成」なのです。つまり「大巨匠 伊福部昭先生の創りだしたアイヌの心を持ちながらも日本人としての決して捨て去れない土俗的な感覚=幾ら西洋近代の衣服を着ても透けて見えてしまう日本人の感性」を見事に表現していた音楽に、割と近いと思われるのです。
だからなのかどうか? 菊池俊輔さんの創り出す「メロディ以外の サウンド 編曲オーケストレーションは、実は非常にシンプルでありさほど小難しいドへ理屈を捏ね上げる、如何にも難しいように聴かせる」等は無かったし、どうも出来なかったのかもしれません。
此処が実は、サイトヘッド様がスレッド上記で書かれた「渡辺宙明みちあき氏との決定的な差」と言えます。この「渡辺宙明氏は、東大在学中からエリートであり、個人的に團伊玖磨さんや諸井三郎さんに師事」したという超エリート。特に諸井三郎さんは師匠がまたあきれけぇる程凄い人たちばかりに教わり、ほぼ完全な純クラシック音楽の大家、、、なるほどこういう物凄い師匠に教わったからこそあの「新東宝 鋼鉄の巨人スーパージャイアンツのテーマ曲」や「四谷怪談 化け猫映画」の様に、何と完全な現代クラシック音楽を既習しながらもきちんとSF映画に求められる娯楽的要素をしっかりと詰め込んだ名曲」を作曲出来たのでしょう。やはり師匠が凄いとお弟子も凄い、、、また後年「年下のジャズの大家、ナベサダさんにジャズの作編曲を学ぶ」と言う貪欲さには脱帽です。やはりその後創られる「宙明節」ってのはやはり「俊輔節とは全然異なり、どちらかと言えば、純クラシック音楽の影響下と基本に沿ったかなり複雑怪奇なハーモニーやメロディ進行=対位法的な音楽」と感じます。だからってぇどちらが良いとか上とか下とかのくーだらねぇどへ理屈等どうでも良い。具体的には「俊輔節にも、怪談映画や怪奇映画が在る」のですが、やはり出てくる音楽は「何処まで行っても俊輔節であり、宙明節とは全然異なり」また面白い、、、どちらかと言えば「俊輔節の方が一般受けしやすい=基本的にドミソ ラドミのダイヤトニックの世界」と言えますね。ちょっと具体的には例えば?「怪奇怪談映画などでは、俊輔節はどちらかといえば恐怖をメロディーで表す」が「宙明節はどちらかといえば和声やサウンド全体で表す」と言えるかもしれません。これは優劣の問題では無く「方法論」でしか無いので好き嫌いの問題ですね。しかしなんとなく解るのは、、、、メロディ的には俊輔節の方がちょっと印象的かなぁと。またご趣味の点でも「菊池俊輔さんは無類のマージャン好き」との事で、なんでも仕事がOKとなるとすぐに仲間集めて(このお仲間ってぇのが凄い人たちばかりでまぁ)
麻雀やってたと、、、、(ところでサイトヘッド様、麻雀ってぇそんなに面白い物でしょうか?自分は将棋も碁もチェスも麻雀もトランプさえもした事が無く、せいぜい坊主のスカートめくり? 位か?) まぁ自分が数十年前、3流週刊誌のヨタ記事で「都内では、麻雀が出来て音楽の批評が出来ればそれだけで食っていける」と。しかしまぁ自分に言わせればこれほど人をこ馬鹿にしたものは無いと。話がそれましたが菊池俊輔さん、ぜひご病気から再起され再び作曲活動され卓を囲まれる日をお祈りいたします。 敬具
コメントありがとうございます。菊池俊輔さんと渡辺宙明さんの手法の違い、興味深く読ませていただきました。