70-80年代化粧品キャンペーンソング〜1976-1988 時代を創った名曲たち*リンク切れ修正

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化粧品CMソング 社会、世相
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70年代~80年代は化粧品のキャンペーンCMと、タイアップ ソングという新たなカルチャーが生まれた時代。

 

起用されたアーティストとヒット曲は、まさにその時代を映す鏡です。

化粧品CMソング

今回は、名曲満載の「化粧品キャンペーン ソング」を、懐かしい当時のCM映像と共に、ご紹介します!

 

 

「化粧品キャンペーン ソング」とは?

 

商業主義の権化とも言える大手メーカーのキャンペーンには、大手広告代理店の仕切りでコピーライター、フォトグラファー、デザイナーをはじめとする名うてのクリエイターが集結します。

 

そしてこの時期からその上にTV CMと、シンガーソングライターの楽曲「 CMソング」が重層的にレイヤーを創り、レコード会社、芸能事務所を巻き込んで、巨大なエコシステムを構築。TVや街頭での大量露出によって、ヒット曲が量産されました。

 

「TVに出ない」アーティストが活躍

 

興味深いのが、この多くの楽曲は「歌謡曲」や「アイドル」ではなく、どちらかといえば普段はTVに露出しない「ニューミュージック」「ロック」など、当時シンガー ソング ライターと呼ばれたアーティストが起用された点です。

 

これは企業からしてもいまでいう「意識高い系」のブランディング効果があり、アーティストからしても一般層への知名度アップにつながりました。

 

その多くは「キャッチコピーありき」。タイトルにやたらと「、」や「。」が多いのはそのせいです。これを提示されてから作詞作曲するのはかなりハードルが高く苦労した、断った、というエピソードがたくさんあります。

 

それでは代表的な名曲を、年代順にご紹介します。この時代の2大メーカーが資生堂とカネボウ。競い合い、切磋琢磨しながら春夏秋冬のキャンペーンを行っていました。

 

 

【70年代編】

 

1976

「秋」

小椋佳「揺れるまなざし」資生堂

創世記はこの方、現役の銀行マンという異色のシンガーソングライター、小椋佳さん。布施明さんに提供した「シクラメンのかほり」の大ヒットで注目を浴びていました。

 

1977

「春」

尾崎亜美「マイ・ピュア・レディ」資生堂

当時「ポスト ユーミン」と囁かれていた尾崎亜美さん。ボサノバ コードが当時としては斬新です。

 

「夏」

ダウンタウン ブギウギバンド「サクセス」資生堂

宇崎竜童さん率いる「男臭い」「不良」バンドの起用は、この当時の化粧品としてはチャレンジングで話題になりました。

 

1978

「夏」

矢沢永吉「時間よ止まれ」資生堂

 

サーカス「Mr.サマータイム」カネボウ

 

この2組の対決は名勝負ですね。永ちゃんは要望に応え意表を突くミディアム バラード、サーカスはフランス曲のカバーです。今もなお語り継がれる名曲。

 

「秋」

堀内孝雄「君のひとみは10000ボルト」資生堂

人気絶頂のアリスから、谷村新司さんが作詞、堀内孝雄さんが作曲しソロで歌唱して大ヒット。まさに“化粧品キャッチコピー“なタイトルです。

 

「冬」

南こうせつ「夢一夜」資生堂

和服姿の小林麻美さんでしっとり和風なキャンペーン。フォーク界の雄、南こうせつさんを起用しました。

 

1979

 

「春」

布施明「君は薔薇より美しい」カネボウ

これまた名曲。作編曲はゴダイゴのミッキー吉野さん。布施さんはオリビア ハッセーさんとこのCMがきっかけとなり結婚。

 

「夏」

ツイスト「燃えろいい女」資生堂

これぞタイアップの見本。「ナツコの夏」小野みゆきさんがモデルで大反響でした。作詞作曲はもちろん世良公則さんです。

 

「秋」

桑名正博「セクシャルバイオレットNo.1」カネボウ

 

作詞 松本隆さん、作曲 筒美京平さんの黄金コンビ。意外にもこれが作詞家 松本隆さん初のオリコンNo.1獲得楽曲。桑名さんはセクシーな歌唱で一躍スターダムへ。

 

 

 

【80年代編】

 

1980

 

「春」

竹内まりや「不思議なピーチパイ」資生堂

前年に「SEPTEMBER」でブレイク中の起用。この楽曲は作詞 安井かずみさん、作曲 加藤和彦さんコンビです。モデルはメアリー岩本、後のマリアンさんです。

 

渡辺真知子「唇よ、熱く君を語れ」カネボウ

’77年のデビュー以来、抜群の歌唱力で人気の渡辺真知子さん。イメージガールは松原千明さんでした。

 

「夏」

クリスタルキング「蜃気楼」資生堂

 

甲斐バンド「ビューティフル エネルギー」カネボウ

この夏は奇しくもバンド対決です。クリキンの「蜃気楼」は大好きでした。

 

「秋」

郷ひろみ「How many いい顔」カネボウ

“オトナ路線“の郷ひろみさんの代表曲の一つ。作詞 阿木燿子さん、作曲 網倉一也さん、編曲 萩田光雄さんトリオの楽曲です。

 

1981

 

「春」

矢野顕子「春咲小紅」カネボウ

作詞は糸井重里さん。カネボウが北京進出のため漢字タイトル楽曲に。「春先、神戸に」と聴こえて神戸ポートアイランド博覧会の CMソングと勘違いされました。

 

「夏」

吉田拓郎「サマーピープル」資生堂

もう1人のフォーク界の雄、タクローを起用。キャッチコピーは”ひかりとパラソル”。編曲は松任谷正隆さんです。

 

「秋」

ナイアガラトライアングル「A面で恋をして」資生堂

言わずもがな、大滝詠一さん、佐野元春さん、杉真理さんトリオのユニット。「ナイアガラ サウンド」は、いまだに CMに使われまくってますね。

 

ザ・ヴィーナス「キッスは目にして!」カネボウ

これまたタイアップらしいタイトル。作詞 阿木燿子さん、作曲 ベートーヴェン(!)、編曲 井上大輔さん。「エリーゼのために」をオールディーズ風にアレンジして大ヒットしました。

 

1982

 

「春」

忌野清志郎&+坂本龍一「い・け・な・い ルージュマジック」資生堂

男色PVが大反響だったキヨシロー&教授コンビの大ヒット曲。本来タイトルは「すてきな」を2人が独断で「いけない」にしてしまい、対応が大変だったとか。

 

ハウンドドック「浮気なパレットキャット」カネボウ

ハウンドドック初のヒット曲。まだ「ff」で暑苦しくブレイクする前で軽快なロカビリー サウンドです。作詞作曲 NOBODY、編曲は後藤次利さん。

 

「夏」

山下久美子「赤道小町ドキッ」カネボウ

これまたタイアップ名曲の一つで、山下久美子さん初の大ヒット曲。「総立ちの久美子」と呼ばれ学園祭で大人気に。

 

「秋」

一風堂「すみれSeptember Love」カネボウ

土屋昌巳さん率いる一風堂の大ヒット曲。土屋さんは当時「JAPAN」のギタリストでした。 モデルはブルック シールズですよ。

 

1983

 

「春」

EPO「う、ふ、ふ、ふ、」資生堂

EPOの名を世に轟かせた楽曲。すごいタイトル…。この後死ぬほど いろんなCMに使われまくる楽曲に。

 

「夏」

ラッツ&スター「め組のひと」資生堂

TikTok世代にも有名なコレもまた、化粧品タイアップの名曲ですね。作詞 麻生麗(売野雅勇さん)、作曲 井上大輔さん。

 

YMO「君に、胸キュン」カネボウ

テクノ歌謡アイドル楽曲の元祖ともいえるコチラは作詞 松本隆さん。YMO史上、最も売れたシングルです。

 

1984

 

「春」

香坂みゆき「ニュアンスしましょ」資生堂

作詞 大貫妙子さん、作曲 EPO、編曲 清水信之さんという豪華な布陣で大ヒットしました。

 

松田聖子「Rock’n Rouge」カネボウ

作詞 松本隆さん、作曲 呉田軽穂(松任谷由実さん)、編曲 松任谷正隆さんの布陣。 CMは本人出演で、女性アイドルが起用される先駆者となりました。

 

「夏」

大沢誉志幸「その気×××(mistake)」資生堂

コレですよコレ。私のベスト 化粧品タイアップ ソングです。いま観ても聴いてもカッコいい…

 

中原めいこ「君たちキウィ・パパイヤ・マンゴーだね」カネボウ

このタイトルを指定されて歌が創れるのがスゴイ。「め組の人」と同じラテン+ファンクの路線ですね。

 

「秋」

高見知佳「くちびるヌード」資生堂

作詞、作曲がEPO、編曲は清水信之さん。彼女史上最大のヒット曲になりました。

 

松田聖子「ピンクのモーツァルト」カネボウ

春に続いてCMも本人が出演。同一タレントが年2回(春と秋)起用されるのは異例でした。作詞 松本隆さん、作曲 細野晴臣さん。

 

1985

 

「春」

THE ALFEE「シンデレラは眠れない」カネボウ

当時絶頂期の歌番組でアイドル的な人気を誇るアルフィーを起用。ハイトーン ボーカルできらびやかなイメージを訴求しました。沢口靖子さんですね。

 

「夏」

吉川晃司「にくまれそうなNEWフェイス」カネボウ

アイドルの枠を超え、人気絶頂の吉川晃司さん、この曲で紅白で暴れて出禁になりました。モデルは麻生祐未さん。ちなみに「夜のヒットスタジオ」は資生堂なのでカネボウ キャンペーン楽曲は唄えませんでした。

 

「秋」

森山達也「LOVE、かくし色」カネボウ

作詞 麻生圭子さん、作曲 森山達也さん、編曲とプロデュースは土屋昌巳さん。MODSのイメージとはガラリと変わるソロデビュー作です。モデルは古手川祐子さん。

 

1986

 

「春」

中山美穂「色・ホワイトブレンド」資生堂

この頃からついに化粧品CMも女性アイドルが本格的に起用されるようになりました。当時まだ“ツッパリ“イメージだったミポリンは、このCMでお嬢様路線へと転向します。作詞作曲 竹内まりやさん、編曲 清水信之さん。これも難易度高いタイトルです。

 

岡田有希子「くちびるネットワーク」カネボウ

作詞が当時休業中の松田聖子さん、作曲は坂本龍一さん。岡田有希子さん生涯最後のシングルにして最大のヒット曲に。モデルは沢口靖子さん。

 

「秋」
中山美穂「ツイてるねノッてるね」資生堂

快進撃を続けるミポリンは CMにも出演。作詞 松本隆さん、作曲 筒美京平さん、編曲が大村雅朗さんと船山基紀さんという最強の布陣。

 

国生さゆり「ノーブルレッドの瞬間」カネボウ


当時人気絶頂のおニャン子からの起用、モデルも本人の話題性で大ヒットに。作詞 秋元康さん作曲 後藤次利さん、編曲 佐藤準さんというお約束の布陣。

 

1987

 

「春」
小泉今日子「水のルージュ」カネボウ

作詞 松本隆さん、作曲 筒美京平さんの黄金コンビ。キョンキョンの起用は遅いくらいですね。

 

1988

 

「春」

南野陽子「吐息でネット」カネボウ

「2代目スケバン刑事」から「はいからさんが通る」で女性支持が高まったナンノはこの曲が自己最高セールスのヒット曲となりました。

 

「夏」
浅香唯「C-Girl」カネボウ

続いては「3代目スケバン刑事」。作詞 森雪之丞さん、作曲 NOBODYで、宮崎出身、南国イメージの自身最大ヒットに。今なお人気のある楽曲です。

 

「秋」

工藤静香「MUGO・ん…色っぽい」カネボウ

おニャン子からソロ転身した、後のキムタク嫁となる工藤静香さんはヤンキー界の姫で不思議と女性支持も高いアイドルでした。作詞 中島みゆきさん、作曲は後藤次利さん。指定された広告用コピーが「ん、色っぽい」で、作詞に苦労したとのこと。

 


 

いかがでしょう。改めて化粧品タイアップ ソングを調べてみると、すさまじいラインナップですね。

 

起用されると圧倒的な露出の多さから「自身最大のヒット曲に」というのが目白押し。

 

後の世に長く語り継がれる“伝説“になったキャンペーン、そしてもはや“スタンダード“化した楽曲…。

 

これが90年代のタイアップ全盛期に続いていくのですね。

 

そしてこの2大メーカー以外にも、フレディマーキュリーなど外タレや起用で印象深い「ノエビア化粧品」や「POLA」など、まだまだあります。

 

多様化する世の中で、 CMも王道からひねりを加えたものばかりですが・・・

 

たまにはこういう「これぞキャンペーン」「これぞタイアップ」という王道の、「カッコいいヒット曲CM」やれないものなんですかね。

 

コメント

  1. 大石良雄(本名) より:

    拝啓 サイトヘッド様にはよろしくお願いいたします。
    このスレッドは大変残念ながら、自分的に一番大好きなCM&タイアップ曲が無かった、、、物凄く残念でした。それは「1981年 カネボウ化粧品夏のキャンペーン タイアップ曲として造られた「SKY君にクラクラ。」なのです。これは「城戸真亜子さんのスカートが風で舞い上がる」とてもセンスの良いCMなのですが、実は何よりこの「SKYの長身二人が歌った 君にクラクラ。」こそ最高に素晴らしい名曲として、もっともっと現在再評価されなければならない名曲なのです。結局この「SKYのお二人も、SSW=シンガーソングライターとしての評価より何よりこの1曲のみで知られる」と言う、残念でもありしかし余計に名曲として永久に心に残るのです。確かにこの曲は完全に「CMスポンサーと所属事務所との音楽とCMをジョイントするタイアップ」としての面も決して否定は出来ませんが、、、しかし「曲の出来のレベルが全然違う」のです。サイトヘッド様はどうお感じになられるか? 物凄く興味関心がありますが、自分としては「Jpopとしてこれほど良く出来た完成度の高い名曲は無い」と。
    まずスタッフとして「作詞=山川啓介氏 完全に独立したプロの作家であり素晴らしい作詞を提供される大家」「作曲=ベーヤン 元アリスの一員として実は一番良い曲を創れる才能実力ある名人 演歌等辞めてJpopに帰還してほしい」「編曲=梅垣達志さん 自分的には勉強不足であまり知る事の無かった人ですが実はどうしてどうして、、、この君にクラクラ。のアレンジを一聴しただけで大変な方」と解り勉強不足を恥じました。何といってもこの「君にクラクラ。」の最大の特徴は「覚えやすい人懐っこい長調メジャーのメロディ 更にアメリカンポップスの基本コード進行=C/Am/F(Dm)/G7を忠実に守りサビに入って意外な展開を見せて此処から「mマイナーコードが使用されなくなる」構成はさすがにベーヤン凄い曲構成だなぁと。
    つまりメロ自体は明らかに昭和時代のある意味古い感覚の曲なのかもしれない、、、しかし自分的には「それがどうした?」と。悔しかったらこういう名曲を創って見さらせと申し上げたい。サイトヘッド様ならバンド活動などを経験されておられれば必ず解っていただけるはずですが。更にアレンジですが、この梅垣達志さんの只者では無い証拠に「少ない楽器編成の中で、弦もブラスも使わずオール電子電機楽器と生リズム」のみでバッキングされたアレンジは、実にドつぼにはまっていて才能実力の片鱗を感じます。つまりメロと歌を殺さないアレンジなのです。更にこの年「東京音楽祭にてSKyはこの君にクラクラ。で外国人審査員賞ほかを受賞」するのですが、この時の映像が現在残されていてよくよく視聴きいたしますと「アレンジが全く異なる」のです。
    当時は今日の様な経費削減だの屁だ糞だと能書き垂れる奴等おらず、ひたすら「大編成のオーケストラ=フルバンド&ストリングス ウィンド クラシカルパーカッション コーラス」等など数十人の豪華絢爛たる素晴らしいバッキングでした。この映像では「アレンジは梅垣さん」とスーパーされていましたが、想像ではこれはオリジナルアレンジャーのお名前であり、もしかして確証は無いのですが「指揮者の長州忠彦さんのアレンジ」なのかもしれません。
    よくよく聴きますと「オリジナルの梅垣さんのアレンジ ピアノパートを弦が担当していたり、電子楽器パートを生ブラスが担当していたり」とにかく長州忠彦さんの筆が入っていたにせよ「梅垣さんのオリジナルアレンジが基本」にあり、如何に素晴らしいアレンジだったかが解ります。なお当時、こうした大編成を要求される場合、インペグ会社が当時多数在りまして知る限り「あんだんて スクリーンミュージック 新音楽協会(新室内楽協会) ザベストアンサンブル クリエイトサウンズ」等が乱立し、フルバンドに無いパートや器楽奏者を派遣しておりましたね。もちろんこうしたプレーヤーはコンサートや歌番だけで無くレコーディングなどでも活躍しており、良い時代でした。現在この「SKYのお二人や名曲君にクラクラ。は完全に忘れられ、忘却の彼方の様ですが、ぜひぜひもう一度陽の目を見る事を心より願い、この曲の素晴らしさを解っていただきたいと心より願います。  敬具

    • MIYA TERU より:

      コメントありがとうございます。SKY「君にクラクラ。」が抜けていたこと、お詫び申し上げます。改めて聴きましたが思いっきりベーヤン節で、ご本人が唄っているのかと思うほどでした(笑)。「演歌等辞めてJpopに帰還してほしい」まったく同感です。なぜあの路線に落ち着いてしまったのでしょうね。

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