藤子・F・不二雄先生の国民的キャラクターとして説明不要な「 ドラえもん」。
水田わさびドラにリニューアルされてもう10年以上経つのに、 いまだに「大山のぶ代じゃないと認めない」 とか言う声も多いですが。
私からしたら、大山のぶ代さん時代のドラえもんは、確かに「 ドラえもんのアニメとして強烈なインパクト、記憶」 ではあるけど、違うのですイメージが。
そして皆んなが知ってる(つもりの)「ドラえもん」は、 この大山のぶ代さん時代のアニメ作品であって、私の中の「 ドラえもん」はそうではありません。
まず、1972-3年ごろ半年間、 日本テレビ系で初のテレビアニメ化された「ドラえもん」。
強烈なスラップスティック(ドタバタ)、 辛辣かつ弱肉強食な遠慮のない子ども同士の争い、 やり過ぎな位のブラックユーモア、 ドラえもんはイタズラ好きなポンコツロボ、 そして唐突なのび太の成長物語。
各キャラも、もはやギャグ重視のために作画崩壊レベルで、 もはや原作とは別の作品として、 これはこれで面白かったのですが、視聴率も悪く人気も出ず、 オバQの再来を願った日テレからしたら期待ハズレの黒歴史でした 。
なにせ放送時間が日曜日の夜7時。裏番組がTBS「アイアンキング」、フジテレビ「マジンガーZ」 というのですから多くの人が記憶にないのもムリはありません。
この時のドラえもんの声は富田耕生さん、 途中から野沢雅子さんに替わりました。
だから大山のぶ代さんは3代目、 現在の水田わさびさんは4代目なワケです。
ちなみにスネ夫の印象しかない肝付兼太さんがジャイアン、 のび太役の小原乃梨子さんがのび太のママだったり、 セワシ役の太田淑子さんがのび太だったりしてます。ややこしい。
https://youtu.be/4CJqc-zHNP4
そもそも、連載当初、てんとう虫コミックスの1〜 10巻くらいまでの、1970年代のドラえもんのマンガは、 いまみたいな道徳的な雰囲気ではなく、 かなりギャグが強めでかなりブラックです。
ジャイアンはもっと凶暴(母ちゃんヒド過ぎ)、
スネ夫は狡猾でとにかく底意地が悪く、
しずちゃんも時に冷たくおてんばでした。( のび太さーんとか言わずに「あんた」呼ばわり) 。
主役のドラえもんも優しく寄り添うよりも、 呆れたり突き放したり、短気だったり発狂したり。
のび太もひみつ道具を勝手に使って調子に乗った挙句、 ヒドイ目に遭う方が多かった。
でも、ものすごくとってもひじょうにすばらしく面白かった( F先生語)。
余計なコマが一切なく、 すごいテンポでしれっとギャグを放り込まれる感覚。 画で笑わかそう、とふざけてないのに、なんだかジワジワ面白い。
子どもの頃に読んだけど…とか言わないで、読んでみてください。 大人になっても、というより大人にこそ面白い、 ギャグマンガの一つの完成系とも言えるお話がたくさんあります。 (私は 新オバケのQ太郎 全4巻も最高に好きですが)
そんなドラえもんが、今度はテレビ朝日系でアニメ化される! となったのは1979年。
当時、小学館から1977年に創刊された分厚いマンガ雑誌、「 コロコロコミック」で人気に再び火がついてのアニメ化でした。
当然、日テレ版のアニメはなかったことにされ、 再放送もメディア化もなくなり、完全に黒歴史化しました。
そしてこの、大山のぶ代さんドラえもんが、 実に30年近く放送されたワケなので、多くの人が「ドラえもん= 大山のぶ代さん」となるのは当然ですし、それは否定はしません。
その間に、ドラえもんは「願いを何でも叶えてくれる」 キャラになり、劇場版では特に、のび太の成長と友情物語( ジャイアンがいいヤツになるのは有名ですね)的に、 オトナの理想とする子どもたちの話、道徳的なお話、 に変容しました。
なので、「大山のぶ代さんドラえもんこそが本当のドラえもん」、 という主張は、私からしたら違和感なのです。 ドラえもんってそんないいヤツちゃうし! もっと毒吐く面白いヤツだし!って思っちゃうんですよね。 マイノリティなのは自覚してますが。
その後、 2005年に水田わさびさんドラえもんにリニューアルされて、 それこそ上のような「大山のぶ代ドラでなければ認めない」 派のバッシングが巻き起こりましたが、 私が注目したのは作画でした。
2005年からの新ドラの作画の方が、 藤子先生の原作に近いのです。
その前の大山ドラ時代の作画はヒドイです。 ドラえもんはおろかのび太もしずちゃんも別人レベル。
↑を見比べて、「真ん中がいい!」 という人はアタマがどうかしてます。
ズバリ言ってしずちゃんがカワイイだけで、新ドラの圧勝です。
そして、新ドラリニューアル後に「たたみのたんぼ」 から始まって、 原作の濃い話を次々アニメ化したのも私的には高評価でした。
特に「独裁スイッチ」「パンドラボックス」「人間製造機」 などをやったのには驚きました。
これらはホラーですからね。 さすがにマイルドにはしてありましたが、 なかなかのチャレンジ精神!
その後もドラえもんは国民的キャラクターであり続け、 劇場版もリメイクが続いてます。
さすがに新ドラ劇場版のキャラの萌えブリ(のび太はショタに、 しずちゃんはエロ過ぎ)や、髪がヒラヒラ、 歯ぐきのあるドラなどのリアル追求、STAND BY MEの泣かせよう路線にはやり過ぎ感が否めませんが、 時代と共に変化するのは仕方ないですよね。
そんなワケで、「大山ドラアニメがドラえもん」 と思っている人は、 まずはてんとう虫コミックスの1巻から読み直し、 いまの新しいドラえもんも観てみてください。
あなたの知ってるドラえもんは、ほんの一部でしかないのです。
好きなひみつ道具は「Yロウ」です!
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