「野球狂の詩」に続いては、もはや説明不要の水島新司さんによる日本の野球漫画の金字塔「ドカベン」をご紹介します。
連載開始から46年。漫画ファンのみならず、高校球児、プロ野球選手にも多大な影響を与えた、日本を代表する野球大河漫画です。
●原作
オリジナルシリーズは「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で1972年から1981年まで連載。単行本は全48巻です。
神奈川県 明訓高校野球部に所属する主人公「ドカベン」こと山田太郎と、同級生でチームメイトの岩鬼正美、殿馬一人、里中智などのチームメイト、そして個性豊か過ぎるライバル達の活躍を描く作品です。
続編に「大甲子園」「ドカベン プロ野球編」「ドカベン スーパースターズ編」「ドカベン ドリームトーナメント編」があり、2018年のドリームトーナメント編の終了を以て完全完結となりました。
足掛け46年、全シリーズを含めた総巻数は205巻!
シリーズ累計は(作品終了時点で)日本で最も巻数の多い作品となりました。
●連載当初は柔道マンガ!
連載初期に描かれた中学時代は、鷹丘中学を舞台とした柔道漫画で、山田、岩鬼、山田の妹サチ子の3人が主軸でした。
これは単行本6巻にもなり、山田太郎が野球部に移り「野球漫画」になるのは7巻から。
しかし、当初から野球マンガになる計画で、話中にその伏線が張ってありました。
作者の水島新司さんは、その理由を「当時ライバル誌に『男どアホウ甲子園』(1970-75少年サンデー 小学館)を連載していたため」と語っています。
私はこれを知らず、1977(昭和52)年の併映「恐竜・怪鳥の伝説」観たさに劇場で観た実写映画版「ドカベン」が野球ではなく柔道もので、ビックリした思い出があります。
●幻の実写映画
1977(昭和52)年、東映で制作された実写映画「ドカベン」を知ってる人はどのくらいいるんでしょうか。
「トラック野郎」シリーズの鈴木則文監督作品で、なんと主演の山田太郎が橋本三智弘さん、岩鬼正美が高品正広さんという無名の新人俳優(この人たち、その後見た記憶がありません)。ちなみに長島透役が永島敏行さん(デビュー作!)、殿馬一人が川谷拓三さん、夏川夏子はんがマッハ文朱さんでした。
観たのがなにせ7歳で記憶が定かでないですが、後から柔道部時代の原作を読むと、かなり忠実に再現されていた気がします(登場人物がいずれも年齢不詳、とても中学生には見えませんでしたが)。
●TVアニメ
映画の1年前、1976(昭和51)年10月、フジテレビ系列でTVアニメがスタート。4年間で全163話の長編です。
製作 日本アニメーション、フジテレビ
フジテレビ系列、毎週水曜日
1976年10月6日 – 1979年12月26日
全163話
主人公 山田太郎というよりバイプレーヤーの岩鬼、殿馬、そして小さな巨人、里中に人気が出て、女性ファンも増えました。
試合のシーンでは1球投げるのにものすごく時間がかかり、1試合に何週間もかける展開でなかなかストーリーが進まなかった記憶しかないのですが、それでも原作連載の約2倍のペースで進行し、結果追いついてしまったため高2夏の弁慶高校戦敗退時点で終了しているのだそうです。
●主題歌
長期放送で何種類かありますが、なんといっても第1話から106話まで使用されたこの2曲でしょう。
「がんばれドカベン」
作詞:水島新司、保富康午 / 作曲・編曲:菊池俊輔 / 歌:こおろぎ’73
「ああ青春よいつまでも」
作詞:保富康午 / 作曲・編曲:菊池俊輔 / 歌:こおろぎ’73
懐かしい…“ああ青春のストライク”など、よく聞くと意味不明な歌詞にツッコミどころ満載です(笑)
●クライマックスは単行本31巻?
「ドカベン」ガチ勢によれば、“単行本31巻が至高“なのだそうです。
ここでは春のセンバツ決勝戦、明訓高校と、前年夏の甲子園でも死闘を繰り広げた土佐丸高校との試合が描かれています。
常勝・明訓絶体絶命のピンチと、その中で山田、里中、岩鬼、殿馬の明訓四天王の知られざる過去が回想され、全シリーズ中でも屈指の盛り上がりと感動をもたらします。
長くて読めねーという人は、31巻だけでもどうぞ。
●意外と知らない最終回
「ドカベン」最終回は、甲子園優勝で終わり…かと思いきや、絶対エースの里中智が学校を中退して終わります。更に、学校を中退する理由が「母親の治療費を稼ぐ為」。
ドカベンは野球と共に、家族の絆を描くマンガでもありましたが、この終わり方はなかなかの衝撃です。
そしてこの展開が、後の「大甲子園」へと続いていくのです。
●本当の最終回
「ドカベン」シリーズの本当のラスト、2018年の「ドリームトーナメント編」最終回は、「ドカベン」第1話の山田太郎と岩鬼正美の中学時代の出逢いのシーンの回想で締め括られました。
このとき持っていた雑嚢いっぱいのでっかい弁当、「ドカベン」が山田太郎のニックネームの由来なのでした。
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