追悼「ショーン コネリー」〜1967「007は二度死ぬ」日本が舞台のトンデモ映画!

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映画
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2020年10月、俳優のショーン コネリーさんが90歳でお亡くなりになりました。

今回は追悼企画として、日本を舞台にしたなかなかのトンデモ映画、「007は二度死ぬ」をご紹介します!

■「007は二度死ぬ」とは

 

シリーズ第5作目、1967(昭和42)年公開、原題は「You Only Live Twice」。

 

イアン フレミングの原作を大きく逸脱した、荒唐無稽なストーリーながら大ヒット。

1967(昭和42)年映画世界興行成績2位(1位は「ジャングル・ブック」)。日本では外国映画興行成績1位(邦画を含めると「黒部の太陽」に次ぐ2位)を記録しました。

 

私も今回、久しぶりに本作を視聴したのですが、この歳になり改めて「こんなにハチャメチャな映画だったっけ」とビックリしました。子供の頃に何度も観たハズなのに、いま観直すとすさまじいズンドコぶりでニヤニヤが止まりませんでした。

 

 

『007は二度死ぬ』
公開:1967(昭和42)年
製作:ハリー サルツマン、アルバート R ブロッコリ
配給:ユナイテッド アーティスツ
カラー/117分

出演者: ショーン コネリー、若林映子、丹波哲郎、浜美枝、ドナルド プレザンスほか

脚本:ロアルド ダール
原作:イアン フレミング
監督: ルイス ギルバート
音楽:ジョン バリー

 

■舞台は日本

 

なんといっても本作、大掛かりなロケが行われ、大半の舞台が日本という点が、最大の特長です。

 

1967 東京オリンピックや、ビートルズ来日の興奮もまだ冷めやらない当時、ハリウッド映画、それも人気の「007(当時は「ダブルオー」ではなく「ゼロゼロセブン」)」の舞台になるなんて、夢のような出来事だったでしょう。

 

敵の組織と癒着する大企業「大里化学工業」の本社ビルはなんと、そのまんまホテル ニューオータニの建物。

その後のカーチェイスシーンでは、高度成長初期の東京の風景が楽しめます(まだクルマも少なく赤坂の脇道が未舗装だったり。有名な“ヘリコプターで敵の車を磁石で持ち上げる“のが本作です)。

 

それ以外にも

 

・大相撲シーンでは横綱 佐田の山(ホンモノ)が登場!

・秘密警察タイガー田中の専用移動装備が地下鉄丸の内線!

・銀座のネオンの下から脇道に入ると大相撲開催中の蔵前国技館!

・埠頭でのアクションシーンは神戸港(船の名前が「NIN-PO」笑)!

・秘密警察の忍者部隊の訓練場が姫路城!

・敵の秘密基地が鹿児島県坊津の漁村や霧島山新燃岳!

…などなど、現実の距離感を無視して西洋人の考える「日本らしい」シーンが続々と登場します。

 

中でも力士の取り組みや、忍法や空手、居合術、神社での結婚式など「和風」描写にかなり尺を割いています。これは日本文化に関心の高かった原作者イアン フレミングの作風を尊重したものだったそうです。

 

■日本人キャストが大活躍

 

なんといっても日本秘密警察のボス、タイガー田中を演じる若き日の丹羽哲郎さんがカッコいい。

ショーン コネリーさん演じるボンドと並んでも、存在感でひけをとらないところは流石です。(遅刻魔の丹波さんにスタッフを代表してコネリーさんが部屋まで叩き起こしに行った際、「Oh、コネリーさん自ら出迎えとはかたじけない!すぐ用意するから待っててくれたまえ」とまったく動じなかったという、丹波さんらしいエピソードも)。

 

そして2人の和製ボンドガール、若林映子さん演じる「アキ」と浜美枝さん演じる「キッシー鈴木」。2人共にチャーミングです。

ゴジラ映画のほか、海外でアジアンビューティとして人気のあった(なんとウディアレンが彼女のファン)若林映子さんは、名車トヨタ2000GTの白いオープンカーを駆って何度もボンドを救います(本作ではなぜかボンドは自分で運転せず)。

 

「クレイジー映画」のヒロインとして人気のあった浜美枝さんは、本作では必要以上に白いビキニ姿で延々、画面に登場します。

 

■主題歌はシナトラの娘

 

オープニング主題歌はナンシー・シナトラの唄う「You Only Live Twice」。

フランク シナトラの娘さんです。オリエンタルな映像にも注目。

■悪の組織スペクターのボス登場

 

本作では敵組織スペクターのボス、ブロフェルドが初めて顔出しで登場します。

猫を抱いて次々と悪の指令を下すキャラはその後の作品で散々、パクられました(本作自体をパロった「オースティン パワーズ」などなど)

 

ストーリーは、冷戦宇宙開発時代の背景を反映して、スペクターが米ソの人工衛星をそのまま宇宙で拿捕して両国間の全面戦争を画策する、という壮大なスケール。

 

その割に当時の特撮がチープで、話と画のギャップに悶絶必至です。

 

■”ザ・ロック”の祖父登場

 

大里化学工業社長室でボンドと乱闘するのは、プロレスラー のピーター メイビア。

WWEの”ザ・ロック”でいまやハリウッドムービースターの、ドウェイン ジョンソンのお祖父さんです。

 

■ボンドが日本人に?

 

作中、敵の目を欺くためボンドがカツラを被り猫背になって日本人になりすますシーンも笑えます。

さらには敵の秘密基地に潜入するために「忍術」を学び、夜は日本家屋で日本式の生活をするという徹底ブリ!

 

そしてキッシー鈴木こと浜美枝さんと偽装結婚するのですが、この奥さんの職業は海女!

 

リトルネリーという組み立て式小型ヘリコプターでの空中戦を経て、敵の秘密基地に潜入する際、ボンドは白ビキニの浜美枝さんを引き連れた徒歩&丸腰で山登り!

 

もはや笑わせようとしてるとしか思えません。

 

■東京ドーム何個分?の巨大セットでのクライマックス

 

そんな丸腰のボンドが乗り込む、敵の秘密基地は火山のカルデラ内にあり、人工衛星を拿捕してサンダーバード1号のように戻ってくるという「スペースX」もビックリの最先端テクノロジー。

人喰いピラニアの池まであります。

 

後半はこの基地内でのド派手な爆発シーンが見所のアクションが続き、ボンドは第三次世界大戦の危機から地球を救い、めでたしめでたし、でドラマは大団円を迎えます。

 

宇宙あり、お色気あり、カーチェイスあり、爆発あり、そしてなんといっても日本ロケーションの見どころシーン連発という、お腹いっぱいな娯楽作品です。

 

 

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