今回は、出崎統 総監督の名作アニメーション「あしたのジョー2」の素晴らしい音楽の世界をご紹介します!
●「あしたのジョー2」とは
高森朝雄(梶原一騎)&ちばてつや の両氏によるボクシング マンガ、そしてTVアニメの金字塔「あしたのジョー」(1968-1973 昭和43-48年 週刊少年マガジン、フジテレビ)の続編で、1980-81年にTVアニメと劇場版が公開されました。
「あしたのジョー」の音楽、といえば多くの方が思い出すのは70年代の1作目の主題歌、寺山修司氏作詞、尾藤イサオ氏の唄う「あしたのジョー」でしょう。
しかし、この「あしたのジョー2」はアニメ自体のクオリティもですが、加えて放映、上映に併せて制作された数々の主題歌、挿入歌がまた、子ども向けとは思えない、異様なクオリティなのです。
■TVアニメ版
「あしたのジョー2」
日本テレビ系 月曜19:00-19:30
1980年10月13日 – 1981年8月31日
全47話
1970-71(昭和45-46)年に放送された一作目の続編で、カーロス リベラ戦からホセ メンドーサ戦までが描かれます。
1作目に引き続き監督を務める出崎統さんの鬼気迫る演出はアニメ史に残る傑作(さらにほとんどの話数で絵コンテを担当する「さきまくら」は出崎統さんの別名義)。音楽は荒木一郎さんが手がけています。荒木さんは1966年にリリースした「空に星があるように」が有名です。
■オープニング
「傷だらけの栄光」(第1話 – 第25話)
作詞・作曲 – 荒木一郎 / 編曲 – 後藤次利 / 歌 – おぼたけし
▲当時、この異様なアレンジにシビレましたが、後藤次利さんだったのですね…。前作よりスタイリッシュかつソリッドな雰囲気が作風にマッチしています。
「MIDNIGHT BLUES」(第26話 – )
作詞・作曲 – 荒木一郎 / 編曲 – チト河内 / 歌 – 荒木一郎
▲中盤以降、オープニングは一転してブルース調に。いよいよホセとの世界戦に向かう本編の佳境ぶりと対照的な気だるい雰囲気に当時はビックリしました。改めて聴くとすさまじく本格的なブルースの名曲です。
■エンディング
「果てしなき闇の彼方に」(第1話 – 第25話)
作詞・作曲 – 荒木一郎 / 編曲 – 後藤次利 / 歌 – おぼたけし
「果てしなき闇の彼方に」(第26話 – )
作詞・作曲 – 荒木一郎 / 編曲 – チト河内 / 歌 – 荒木一郎
▲エンディングは同一楽曲ですがアレンジが異なります。中盤以降はオープニング同様、よりブルージーなアレンジになっています。
■劇場版「あしたのジョー2」
TVアニメ放送中の1981(昭和56)年7月4日公開。
この前年1980(昭和55)年には1作目TVシリーズ総集編劇場版「あしたのジョー」が公開され、本作はその続編。
前半はTV版「あしたのジョー2」の再編集、終盤は放映中のTVシリーズに先行して制作、公開され、のちにテレビシリーズに流用されたそうですが…この制作進行は地獄ですね。TVシリーズ第一作はフジテレビで、第二作は日本テレビなのも興味深いですね。
▼リマスターBlu-ray発売告知
■主題歌
「あしたのジョー2のテーマ〜明日への叫び〜」
作詞・作曲・歌 – ジョー山中
▲ジョー山中さんですよ…渋過ぎます。
■挿入歌
「青春の終章(ピリオド)〜JOE…FOREVER〜」(挿入歌)
作詞・作曲・歌 – ジョー山中
▲こちらもジョー山中さん。かの有名なラストシーンにどハマりなゴスペル調の名曲です。
【おまけ】
1980(昭和55)年3月に公開された前作、劇場版「あしたのジョー」の楽曲も素晴らしいのでご紹介。
主題歌
「美しき狼たち」
作詞 – たかたかし / 作曲 – 鈴木邦彦 / 歌 – おぼたけし
▲レアなご本人歌唱映像。名曲中の名曲と支持の高い楽曲です。
挿入歌
「K・O(ノック・アウト)」
作詞 – 村上龍 / 作曲 – ジョー山中 / 歌 – 清水保男
▼作詞が村上龍さん! 力石徹との名場面と併せて2曲続けてどうぞ
【おまけ その2】
TV版「あしたのジョー2」、ラストのジョーVSホセの世界タイトルマッチの両者の入場曲がこれまた渋いのです。
矢吹 丈:
■高中正義「FINGER DANCIN’」
ホセ メンドーサ:
■高中正義「Mambo No.6」
▲選曲のセンスが素晴らしいですね。
【おまけ その3】
▲「傷だらけの栄光」DIAMOND☆YUKAIさんによるarrange version.
(パチスロ アルバムに収録されているようです)
▲「傷だらけの栄光」尾藤イサオさんによる21st. version.
いかがでしょう。いずれもかつての「角川映画」を彷彿とさせる、オトナな仕上がりですね。
それにしてもここまで「ブルース」が似合うアニメ作品もないかもしれません。
これだけの玄人ウケする才能が集結して名曲が生まれたのも、原作の持つ熱量によるものなのでしょう。
▼2018 連載開始50周年記念サイト
https://joe-50th.com/
完
コメント