「ラジカセ」と「カセットテープ」の頃 ~ 80年代からバブルまで

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社会、世相
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見た目は80年代、でもBluetoothやUSB、SDカード対応の最新ラジカセ、というのが話題ですね。そしてこのところ、よく「カセットテープ復権」というニュースも見かけますが、ホントでしょうか…。

 

そんなワケで、今回は「80年代ラジカセ」と「カセットテープ」のお話、当時中学生だった世代のリアルタイム体験談です。

 

 

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深夜ラジオとカセットテープ

 

まだエンターテイメントはテレビとラジオ、そしてレコードだった時代。

 

中学生くらいになると好きなアイドルの番組や「オールナイトニッポン」など、ラジオというメディアに触れるようになります。

 

ちなみに福岡ではRKB「スマッシュ11」、KBC「パオーン」というのが2大人気(深夜)番組でした。

 

まだCDはなくレコード時代です。しかし好きなアルバムをいちいちプレーヤーにかけて聴くのは面倒…。

 

そんなワケで、ラジオをエアチェックしたり、マイセレクションを作ったり、というのに「カセットテープ」と「ラジカセ」がマストアイテムだったワケです。

 

 

ステレオとラジカセ

 

ステレオ」と呼ばれたコンポは高価で、アンプだスピーカーだ、と場所もとります。当時はリモコンもなく、寝っ転がったり、ながら勉強中は操作もしにくいのです。

 

 

そうなると、必然的に「カセットテープレコーダー」と「ラジオ」がセットになった「ラジカセ」というものが普及します。

 

自室にテレビやステレオはムリだけど、ラジカセは1人1台、というのが80年代でした。

 

アーティストのアルバムもCD登場前はLPレコードとカセットで発売されていましたし、「テレビまんが主題歌集」など子ども向け商品は、レコードよりカセットテープの方が主流だったかもしれません。

 

80年代を代表するカルチャー「竹の子族」もラジカセありきのものですし、ヒップホップカルチャーのガイジンさん達も皆、「メイド・イン・ジャパン・ラジカセ」を担いでいて、自動車と並ぶ「日米貿易摩擦」の象徴的存在にまでなりました。

 

 

ラジカセの歴史

 

70年代、オープンリールからフィリップス社が開発した「カセットテープ」が普及したタイミングで、音声の録音再生が可能な「カセットテープレコーダー」が登場します。

 

 

真っ黒とシルバーの無骨なデザインで、音楽を楽しむというよりは教材チックな家電です。付属のマイクで録音して生まれて初めて自分の声を聞いて「自分はこんなヘンな声なのか」と当時の日本人はほぼ全員、ショックを受けたのです。

 

やがてテープレコーダーはラジオと合体。我が家にもこんなのがありました。

 

 

なぜか外のポケットにトランシーバみたいなワイヤレスのマイクが付属していて、使い道がわからずとりあえずどこまで電波が届くか、家の外に出て実験しましたが、通話が一方通行のため外にいる方はまるで無意味で、すぐに飽きてしまったのを思い出します。

 

その後、FM放送が普及するとスピーカーが2つの「ステレオラジカセ」が登場します。

 

しかしまだまだ見た目も男性的というか無愛想で、工業製品チックでした(これはこれで味がありますが)。

 

 

「おしゃれラジカセ」という文化

 

そして、1979年、若者の生活を一変させる画期的な製品が登場します。

その名も「サンヨーおしゃれなテレコU4」。

 

 

真っ赤なボディに横長のフォルム、取っ手付きでどこにでも持ち運べる、ベッドサイドにも机の上でも、なんなら乾電池でピクニックにも持っていける!的なアプローチ(CMでは水着のお姉ちゃんが海辺で使ってました、防水でもないのに)。

 

イメージキャラはダックスフンドで、明らかにヤング&女性層の取り込みを狙っています。

 

 

この1979年にはSONYウォークマンも登場。「ヘッドフォンで音楽を聴きながら街を歩く」というのは今でこそ当たり前ですが、この当時、社会問題にもなり、さらにカセットテープの利用が加速します。

 

 

その後、「カセットテープからカセットテープへのダビング」を可能にする「ダブルカセットデッキ」MR-WU4、MR-WU4Aが発売され、ナウいヤングに圧倒的に支持されます。

 

その後、原田知世ちゃんCMの「東芝 シュガー」などが続々と登場、この“おしゃれラジカセ”はシャープ、サンヨー、ナショナル、ビクターなど各オーディオメーカーがしのぎを削り、一大ムーブメントを巻き起こします。

 

 

その多くの売れ筋は真っ赤なボディでファンシー路線。いかにサンヨーの「おしゃれなテレコ」のインパクトが鮮烈だったのかよくわかります。

 

 

機能充実 バブル ラジカセ時代

 

「自動頭出し」「VHF/UHF TVチューナー搭載」「オートリバース」「メタルカセット対応」「Wデッキ連続再生」などなど、機能も進化していき、果てはテレビ付きの「日立 ラテカセ」まで登場し、バブル期を迎えるとラジカセはさらにバリエーション豊かになります。

 

カセット部分が取り外し可能でSONYウォークマン的に使える「アイワ カセットボーイ」「ナショナル Kangaroo(カンガルー)」。

 

 

同時に2本のカセットテープに録音可能+ダビングができる、トリプルデッキ搭載の「ナショナル ラブコール(RX-F333)

 

 

重低音にフォーカスした「SONY ドデカホーン」など。

 

発売当初の小型軽量化とは逆行して、リモコン付きでバカでかいタイプも増えました。

 

その後、レコードからCDに移行すると1986年ごろから「CDラジカセ」が登場。さらに進化は進みます。

 

 

航空母艦のような巨大なラジカセ

 

 

からCDを連装するオートチェンジャー付きミニコンポとなり、そして1995年ごろ、時代の仇花的メディア「MD」が登場するとCD+MDのミニコンポ、というジャンルが誕生。ここはSONYの廉価版ブランド・アイワが大量に市場に製品を投下していました。

 

 

そしてMDの普及に伴い、徐々にカセットテープは市場を縮小していきました。

 

 

カセットテープの世界

 

TDK

マクセル

SONY

らが老舗で、

富士フイルムAXIA

が新興、というイメージでした。それぞれデザインがカッコよかったりダサかったり、好みが分かれました。ラインアップも廉価版から高級品までホントにたくさんありました。どれも、なんとも郷愁をそそるデザインですね。。。

 

 

レコードマニアなど意識高い系はオープンリールみたいなルックスのTEACを使ってました。

 

 

中でもSONY MetalMasterはセラミック製で、1本1,000円くらいした記憶があります・・・。

 

 

両面の合計収録分数が30分、60分、90分、120分がありました。

 

LPアルバムだと60分両面か、ギリギリ90分片面でいけるものもありましたので選択を間違えないようにしないと、あと少し…というところで「ガチャン」と録音が終わり、別のテープでやり直し、という羽目に…。120分テープは深夜放送のエアチェックに活躍しました。

 

メタル、ハイ(クロム)ポジション、ノーマルというバリエーションがあり、ダイナミックレンジやらインピーダンスやらの違いがありますが、ハッキリ言ってシロウトにはわかりません(笑)。初期はオーディオ機器に自分でカセットの種類を選択するスイッチが付いてましたが、自動判別になりましたね。そもそも女子なんてそんなこたぁまるで気にしないのです。

 

好きなアルバムやベストコレクションに見るからに高級で実際高価なメタルを使ってみよう!としたがデッキが対応してなくてかえって音質が悪くなる、なんて事も頻繁に起きていたと思います。

 

「巻き戻し」「早送り」「頭出し」「オートリバース」なんかは、今どきの若い世代には意味不明でしょうね。

 

 

カセットテープのMTR

 

ちなみに、私が最初に買ったMTRはカセットテープを使うTEAC製4トラックのものでした。

 

大学時代に友人と作詞作曲アレンジ、自宅で演奏してピンポン録音を繰り返してオリジナルアルバムを制作したのはよい思い出です。

 

 


 

その後・・・Apple iPodの登場でついにメディア自体が姿を消し、音楽は圧縮ファイルをダウンロードして楽しむものに進化しました。

 

レコードやラジオからのエアチェックでカセットテープに録音してダビングして、「FMステーション」付録のインデックスカードにインスタントレタリングでタイトルを書き…

 

  

 

今よりも音楽を聴くための労力が大きかった分、面倒だった分、「音楽を聴く」という事が大切な時間だった気がしますね。

 

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