寺川正興さんに続いて、昭和歌謡曲・アニソンに欠かせないもう1人の伝説のベーシスト・江藤勲さんをご紹介します。
昭和歌謡曲、ジャズ、ロック、フォーク、ニューミュージック、アニメ、CMなどなど膨大な楽曲でスタジオミュージシャンを勤め、日本の音楽文化に偉大な足跡を残した、凄腕のベーシストです。
特に60-70年代の歌謡曲、アニソンで「凄いベースなら江藤勲か寺川正興」と言われる、伝説的な存在です。
江藤勲とは?
江藤勲(えとういさお)―1943(昭和18)年10月16日生まれ。
17歳で時田よしゆきとグリーン・アイランダーズのギタリストとしてプロ活動を開始。当初はフルアコ・ギターを弾いていましたが、ベーシストに転向。克美しげるとロックメッセンジャーズ、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、津々美洋とオールスターズ・ワゴンなどを経て、独立します。
江藤さんはブラックミュージックへの造詣も深く、日本人離れしたグルーヴ感と、自ら編み出したピック弾きの独特トーンが持ち味。
浜口庫之助、森岡賢一郎、小林亜星、筒美京平、川口真、鈴木邦彦、村井邦彦、都倉俊一など、錚々たる顔ぶれの作曲家たちの「ファースト・コール・ミュージシャン」として活躍しました。
そしてその傍ら、石川晶とザ・ゲンチャーズ、石川晶とカウント・バッファローズ、ジミー竹内とエキサイターズ、杉本喜代志クワルテット(表記ママ)などにもレギュラー参加、数多くの作品に参加しています。1970(昭和45)年には歌手の薫ジュンさんと結婚(のちに離婚)してニュースになりました。
その後も歌謡曲だけでなく、アニメソングやロック、ジャズなど幅広いジャンルでそのベースを響かせ、日本の音楽文化に大きく貢献されました。
生涯レコーディング曲数は1万曲前後とも言われ、本人も把握していないそうです。晩年はハワイアンバンドのジョージ松下&コニーアイランダースに参加、ウッド・ベースで円熟味を増したプレイを披露。2015年、亡くなる前日までステージに立っていた、生粋のミュージシャンです。
それでは、江藤勲さんの代表的な参加楽曲をご紹介しましょう。
ぜひ、ベースラインに注目して聴いてみてください。
*江藤さんの参加楽曲は、ディスコグラフィーがコチラにまとめられています。
江藤ベース 歌謡曲編
悲しき願い / 尾藤イサオ&ドーン(1965)
こまっちゃうナ / 山本リンダ(1966)
グッド・ナイト・ベイビー / キング・トーンズ(1968)
伊勢佐木町ブルース / 青江三奈(1968)
スワンの涙 / オックス(1968)
ブルー・ライト・ヨコハマ / いしだあゆみ(1968)
ドリフのズンドコ節 / ザ・ドリフターズ(1969)
長崎は今日も雨だった / 内山田洋とクールファイブ(1969)
雨に濡れた慕情 / ちあきなおみ(1969)
人形の家 / 弘田三枝子(1969)
ひとりの悲しみ / ズー・ニー・ヴー (1970)
*この楽曲は「また逢う日まで」の原曲。「また逢う~」は寺川正興さんがベース、この「ひとりの~」は江藤勲さんがベースを弾いています。アレンジはほぼ同じなので、両者のスタイルの違いがよく分かります。
手紙 / 由紀さおり(1970)
夜明けのスキャット/由紀さおり
笑って許して / 和田アキ子(1970)
空に太陽がある限り / にしきのあきら(1971)
17歳 / 南沙織(1971)
喝采 / ちあきなおみ(1972)
わたしの彼は左きき / 麻丘めぐみ(1973)
さらば恋人/堺正章(1971)
銭$ソング/白木みのる
*NHK「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」のテーマソングはこの曲です!
むらさきの夜明け / 美空ひばり(1967)
アテンション・プリーズ / ザ・バーズ(1970)
タモリ(1stアルバム) / タモリ(1977)
70年代、時代の勢いを感じさせる楽曲の数々。前回ご紹介した寺川正興さんに比べ、江藤勲さんのベースは堅実・安定・確実な音程とタッチの「ピッキング奏法」による渋いベースライン。聴いていて実に心地よいですね。
江藤ベース アニソン・特撮主題歌編
続いては、江藤勲さんのアニソン・特撮主題歌におけるお仕事です。
聴けば誰もが知っている、名曲の数々を手掛けておられます。
サザエさん
忍風カムイ外伝 忍びのテーマ
デビルマン
アタックNo.1
みなしごハッチ
すきすきソング(ひみつのアッコちゃん)
ルパン三世
ルパン三世 その2
海のトリトン
ミラーマン
いかがでしょう。寺川正興さんと江藤勲さんのベーシストとしてのお仕事を知ると、当時の歌謡曲・アニソンなどのクオリティの高さと、それを支えたミュージシャンの凄腕ブリがよくわかります。
「江藤ベース」は、今回紹介した楽曲以外にもまだまだあると思います。ご存じの方は追加しますので教えてください!
▼YouTube再生リスト「江藤勲ベース」
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