80年代名盤⑦「レベッカ」~1985 4thアルバム「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~」

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音楽
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今回は、80年代中盤からの”第二次バンドブーム“を、BOØWYと共に牽引したレベッカの名盤「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~」をご紹介します!

 


 

●レベッカとは

 

1984年4月メジャーデビュー。メンバーの脱退・加入を経て、NOKKO(ボーカル)、土橋安騎夫(キーボード)、高橋教之(ベース)、小田原豊(ドラム)の4人体制に。

女性ボーカリストNOKKOのコケティッシュなキャラクターで注目を集め、1985年、4thシングル「フレンズ」が大ヒット。

この4thアルバム「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~」は日本のロックバンドとして初めてミリオンセールス(130万枚)を記録。

1991年の解散までにアルバム計700万枚を売り上げた、文字通りの“レジェンド”バンドです。

 


 

●女性ボーカリストのロックバンド

 

レベッカ以前にも「カルメン・マキ&OZ」「サディスティック・ミカ・バンド」「シーナ&ロケッツ」など、女性ヴォーカル+男性メンバーのバンドは、数多く存在します。

 

ただ、レベッカ の存在はそれ以前を知らない世代にとってはオリジナル。
これ以降のリンドバーグJUDY AND MARYといった後進バンドに多大な影響を与えました。

 


 

●洋楽テイストを日本マーケットに

 

もう一つのブレイクポイントは、80年代前半のMTVブーム、シンディローパーやマドンナに代表される「新世代ロックとしてのガールポップ」の潮流を、オマージュと共に巧みに取り入れたサウンドメイクと、確かな演奏テクニック。

 

そこにNOKKOのキャラクターと表現力が加わり「レコーディングだけでなくライブも圧倒的なバンド」として評価が高まりました。

 

ちょうどこの時期、アイドルとしてザ・チェッカーズ、吉川晃司、C-C-B、さらには安全地帯などが出現し、お茶の間にロックサウンドが徐々に定着すると共に「アイドル歌謡のロック化」が一気に進みます。

 

この下地から生まれた「80年代 第二次バンドブーム」の始まりは、間違いなくレベッカとBOØWYでした。

 


 

●初期のレベッカ

 

初期のレベッカはギタリストでNOKKOの旦那(当時)でもある木暮武彦(シャケ)がリーダー兼ソングライター。UKバンドの流れを感じさせるバンド色の強い楽曲路線でした(ちなみに初期のエグゼクティブプロデューサーは後藤次利さん)。その後、木暮氏とドラマーの小沼氏が音楽性の違いから脱退。

 

新リーダーとなった土橋安騎夫さんは、NOKKOのヴォーカルとキャラクターの魅力を前面に押し出すことを主眼に置き、キーボードをメインにシンディ ローパー、マドンナらの曲調をオマージュ。海外の最新トレンドを巧みに採り入れたポップなサウンドメイクへとシフトします。このシフトチェンジによりバンドの音楽性と路線が明確になり、時代とシンクロした“キャラ立ち”が爆発的なブレイクにつながりました。

 

1985年4月、新体制での3枚目のシングル「ラブ イズ Cash」と3rdアルバム「WILD & HONEY」がチャート6位のスマッシュヒット。

 

レベッカが一躍ブレイクしたきっかけは、先行シングル「フレンズ/ガールズ・ブラボー」ドラマ「ハーフポテトな俺たち」(日本テレビ)のOPに「ガールズ・ブラボー」が、EDに「フレンズ」、さらに、「Maybe Tomorrow」が挿入歌として起用されたこと。OPにはバンドメンバー本人が登場し、ライブハウスでNOKKOが「ガールズ ブラボー!」を歌う場面を演じています。

ドラマ自体は打ち切りで終了したものの、レベッカの楽曲だけが一人歩きして当時のロックバンドのシングルとしては異例の大ヒットに。

 

そして、その1か月後(1985年11月1日)にリリースされた「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~」がチャート1位を獲得、日本のロックバンドとして初めてミリオンセールス(130万枚)を記録し、レベッカ は推しも押されぬトップバンドに上り詰めました。

BOØWYが名実ともに(世間一般という意味で)”ブレイク”したシングル「B・BLUE」アルバム「BEAT EMOTION」が翌年の1986年11月ですから、レベッカの方が1年、ブレイクが早かったことになります。ちなみに・・・これまでの3枚のアルバムはいずれもミニアルバム。レベッカは初のフルアルバムでミリオンセールスを達成したことになります。

 


 

●「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow〜」

 

80年代の空気をそのまま閉じ込めたような、アナログシンセとディレイを多用したきらびやかなポップさを、骨太のベース&ドラムのグルーヴが支え、さらにギターがキーボードと交互に、見事なアンサンブルを奏でる名盤です。

 

当時の流行だったこれでもか、と音を重ねたポップスに比べ、レベッカ・サウンドは敢えてシンプルを貫く”引き算の美学”を感じます。このあたりは幼少期からピアノ、フルートを習っていたというクラシック出身の土橋さんの「インテリジェンスかつセンチメンタル」なコンポーザーとしての手腕だと思います。同世代で後に一世を風靡した小室哲哉さんに比べると地味ですが、もっと評価されてよい気がしますね。

 

洋楽へのオマージュを”パクリ”と否定する向きもありますが、きちんと自分たちのオリジナルに仕上がっていて、しっかりロックなのにポップで美しいメロディライン。その上でNOKKOの表現力豊かな歌詞と唄を自由に踊っています。

 


 

●女子心理を巧みに描くNOKKO(+沢ちひろ)の歌詞

 

「プライベイト・ヒロイン」「76th Star」や「ガールズ ブラボー!」など、エネルギーに溢れた女の子の”野望”を唄うかと思えば「Cotton Time」や「ボトムライン」ではヒール、デスク、ラッシュの電車、つまらない日常、といった「都会で働くOLの日常」も唄われます。

 

ロック、というとエネルギッシュなイケイケ、と思いきや、それまでニューミュージックやシティポップスにしかなかった、「現代を生きる、すこし疲れたり孤独な等身大の女の子」が聴く、唄えるロックというのは新しかった。

 

これは後の女性ボーカルバンドだけでなくソロも含めた女性アーティストに与えた影響は、多大なものがあったと思います。

 


 

●その後のレベッカ

 

その後もレベッカは

「RASPBERRY DREAM」

「MONOTONE BOY」

「MOON」

などヒットシングルを連発、「REBECCA IV」以降のアルバムはすべて80万枚以上のセールスを記録しています。

 

ライブも日本武道館6days(1987年1-2月)、横須賀港での5万人野外ライブ(1987年8月)、東京ドーム公演(1989年7月)などを次々と成功させます。

しかし、多忙過ぎるスケジュールが創作に影響するようになり、1990年1月に行われたコンサートツアー「BLOND SAURUSの逆襲」日本武道館公演を最後に活動を休止。翌年の1991年2月14日に解散しました。

 

その後、1995年5月、阪神・淡路大震災の復興支援を目的として2日間限定の再結成ライブを横浜アリーナで開催

 

さらに2015年4月21日、再結成ライブ「Yesterday, Today, Maybe Tomorrow」を横浜アリーナで8月12日、13日に開催。同年12月31日には「第66回NHK紅白歌合戦」への初出場を果たしました。

 

2017年7月から9月にかけて、およそ28年半振りとなる全国ツアー「REBECCA LIVE TOUR 2017」を開催。

現在も活動中です。

 


 

「REBECCA IV ~Maybe Tomorrow〜」

リリース:1985年11月1日
レーベル:CBSソニー/FITZBEAT

01.Hot Spice
作詞:宮原芽映/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
02.プライベイト・ヒロイン
作詞:NOKKO・沢ちひろ/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
03.Cotton Time
作詞:NOKKO・沢ちひろ/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
04.76th Star
作詞:NOKKO・沢ちひろ/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
05.光と影の誘惑 (Instrumental)
作曲:高橋教之/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
06.ボトムライン
作詞:NOKKO/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
07.ガールズ ブラボー!
作詞:NOKKO/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
08.フレンズ
作詞:NOKKO/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
09.London Boy
作詞:沢ちひろ/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ
10.Maybe Tomorrow
作詞:NOKKO/作曲:土橋安騎夫/編曲:レベッカ

 


 

<関連リンク>

「80年代 第二次バンドブームの真実」

80年代名盤シリーズ

①「大沢誉志幸」~1984 3rdアルバム CONFUSION
②「寺尾聰」~1981 1stアルバム「Reflections」
③「吉川晃司」~1984 2ndアルバム「LA VIE EN ROSE」
④「BOØWY」~1986 5thアルバム「JUST A HERO」
⑤「佐野元春」〜1984 4thアルバム「VISITORS」
⑥「吉川晃司」~1986 4thアルバム「Modern Time」

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