80年代名盤④「BOØWY」~1986 5thアルバム「JUST A HERO」

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1986年3月1日リリース

 

80年代を代表するバンド、BOØWY(1981~1987)。
彼らのアルバムから敢えて1枚、と言われれば、私はこのアルバムを推します。

 

私がBOØWYの名前を知ったのは1985年、高校1年の時。吉川晃司氏の4th.アルバム「Modern Time」や、シングル「Rain-Danceが聞こえる」にギタリストとして参加した「布袋寅泰氏がいるバンド」としてでした。ちょうど布袋寅泰氏が山下久美子さんと結婚した際、「歌のトップテン」で吉川晃司さんが司会の堺正章さん&榊原郁恵さんコンビにエピソードを聞かれていたのを観た記憶があります。(いまでは信じられませんが、当時の布袋氏は”山下久美子と結婚した無名のギタリスト”程度の認知度でした)

 

高校やライブハウスで知り合ったバンドをやってる、ギターを弾いてる連中からも時折「BOØWY」の名前は耳にしていましたが、その頃は「パンクバンド」として認知していたので、なかなか聴く機会がありませんでした。最初に聴いたアルバムは3rdその名も「BOØWY」(1985)でした。とにかくカッティングの気持ちよい「Bad Feelin’」など、彼らの音を聴いて「パンクじゃないじゃん!」というのが感想。

 

後に辿ればパンクらしいパンクはデビューアルバムの「MORAL」(1982)くらいで、2ndの「INSTANT LOVE」(1983)からはニューウェーブバンドの色が濃い時期でした。そして前述の3rdアルバムを経て、ライブ活動で少しづつ、認知度と人気が高まりつつあったタイミングでリリースされたのが、この4thアルバム「JUST A HERO」でした。

 

このアルバムは、彼らのキャリアの中でも最もニューウェーブ寄りのアプローチと言えます。シンセやシーケンサーを多用したゴージャスな音作りは後のビジュアル系バンドの手本となりましたし、「俺たちは単なるギタービートバンドじゃない」というセンスを見せつけた1枚です。

 

氷室―布袋コンビによるキャッチーかつメロディアスな楽曲あり(「わがままジュリエット」「JUST A HERO」「WELCOME TO THE TWILIGHT」)、お得意のトリッキーなギターリフものあり(「LIKE A CHILD」)、強烈なリズム隊とのアンサンブルが凄まじい楽曲あり(「DANCING IN THE PLEASURE LAND」「ROUGE OF GRAY」「JUSTY」「ミス・ミステリー・レディ」)、盟友 吉川晃司とのシークレットなファンクナンバー「1994 -LABEL OF COMPLEX-」、布袋氏のプレイもカッティング、アーミング、ガットギター、アコギなどなど(「Prastic Osean」ではバイオリンまで)実にバラエティに富んでいます。

 

氷室京介氏による独特な世界観の作詞もある意味で完成形を迎えていて、もはや意味不明を通り越してアバンギャルドな世界観を構築。当時なかなかメディアに露出しない(できない)事を逆手にとって、彼らのミステリアスな雰囲気を増幅しました。

 

そしてこのアーバンな雰囲気、私は同時期リリースの吉川晃司「Modern Time」とのシンクロを感じます。

ギタリスト、サウンドコンポーザーとして急成長していたこの時期の布袋氏にとって、「Modern Time」のレコーディングで出会った後藤次利さんの影響はどんなものだったのでしょうね。

 

後藤次利さんは、20代前半で高橋幸宏に誘われサディスティック・ミカ・バンド「HOT! MENU」のレコーディングに参加、直後のイギリス公演で絶賛されていますし、このアルバムのプロデューサーは布袋氏の愛してやまないバンド、ROXY MUSICを手がけたクリス・トーマス氏です。

 

併せて後藤氏は原田真二さんの「シャドーボクサー」でアレンジャーとしてデビュー後、沢田研二さんの「TOKIO」から一世風靡セピア、近藤真彦、シブがき隊、中森明菜、とんねるず、秋元康さんと組んだおニャン子クラブ、河合その子、工藤静香まで、スゴ腕ミュージシャンでありながらキャッチーな売れ線もこなす天才ベーシスト、作曲家、アレンジャー、プロデューサーです。

 

私的には吉川晃司氏、後藤次利氏との出会いで触発された布袋寅泰氏のインスピレーションがこのアルバムで爆発した、そんな印象があります。

 

そんなBOØWYは次作5thアルバム「Beat Emotion」でビートバンドとしての完成形を見せつけ、シングル「B BLUE」と「Only You」の大ヒットで、文字通り押しも押されもせぬ超メジャー・バンドに上り詰めていくのでした。

 


 

【収録楽曲】

  1. DANCING IN THE PLEASURE LAND (4:31) 作詞:氷室京介 / 作曲・編曲:布袋寅泰
  2. ROUGE OF GRAY (2:52) 作詞:氷室京介 / 作曲・編曲:布袋寅泰
  3. わがままジュリエット (4:34) 作詞・作曲:氷室京介 / 編曲:布袋寅泰
  4. JUSTY (3:57) 作詞:氷室京介 / 作曲・編曲:布袋寅泰
  5. PLASTIC OCEAN (3:13) 作詞:PAUL JANSEN / 作曲:氷室京介 / 編曲:布袋寅泰
  6. JUST A HERO (5:28) 作詞:氷室京介 / 作曲・編曲:布袋寅泰
  7. 1994 -LABEL OF COMPLEX- (4:25) 作詞:氷室京介 / 作曲・編曲:布袋寅泰
  8. ミス・ミステリー・レディ (Visual Vision) (3:57) 作詞・作曲:氷室京介 / 編曲:布袋寅泰
  9. BLUE VACATION (3:36) 作詞:氷室京介 / 作曲・編曲:布袋寅泰
  10. LIKE A CHILD (4:21) 作詞:松井恒松 / 作曲・編曲:布袋寅泰
  11. WELCOME TO THE TWILIGHT (6:00) 作詞:氷室京介 / 作曲・編曲:布袋寅泰

 

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