「1.4事変」橋本真也vs小川直也 〜1999 東京ドーム ②衝撃の試合展開

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プロレス
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1999.1.4東京ドーム 
’99 WRESTLING WORLD in 闘強導夢

この日の対戦カード

 

  1. 中西学vs藤田和之
  2. 安田忠夫 木戸修 藤波辰爾vs小原 後藤達敏 木村健悟
  3. IWGP Jr.タッグ級選手権
    大谷 高岩竜人vsドグトルワグナーJr. ケンドーカシン
  4. IWGP Jr.ヘビー級選手権
    獣心サンダーライガーvs金本浩二
  5. 佐々木健介vs大仁田厚 

    〈新日本vsU.F.O.〉

  6. 永田裕志vsデイブ ベネトゥー
  7. ブライアン ジョンストンvsドン フライ
  8. 橋本真也vs小川直也 
  9. IWGPタッグ選手権
    越中詩郎 天龍源一郎vs天山広吉 小島聡
  10. IWGPヘビー級選手権
    スコット ノートンvs武藤敬司

 

小川‐橋本戦はメインではありません。
「U.F.O.vs新日本3番勝負」の大将戦として、セミ前、第8試合に組まれました。

いまとなってはセミ、メインのどうしようもないカードは誰も覚えていないでしょう(笑)

 

試合前の注目度

 

当時のこの大会前の話題は、第5試合で健介と戦う「大仁田厚の新日プロ初登場」でもちきり。

 

セミ、メインのカードはありきたりで、正直「どっちが勝ってもどうでもいい試合」。このドームは「大仁田」一本で勝負した感があります。

 

私も含め、当時のファンは小川と橋本の試合は興味はありましたが、正直もう何度も繰り返され、新鮮さはありません。やはり話題性、新鮮味でいえば、何をしでかすかわからない「大仁田一色」のドームでした。

 

しかし、その舞台裏ではキナ臭い事件が起こっていました。

 

小川が来ない!

 

15時の大会開始になっても小川が来場せず。レフェリー タイガー服部とマサ斎藤立会いの下、小川と橋本が顔合わせして行われる予定だった試合前の打ち合わせ(表向きはルール ミーティング)の時間になっても小川が来場しないため、新日側が連絡を取ります。

 

小川は「車のタイヤがパンクしたので遅れる」との返答。
結局、試合前に顔合わせできないまま試合を迎える事になりました。

 

当時の橋本の付き人は藤田でしたが、真壁と共に一番下っ端の立場だったため、前任者の安田が付き添っていました。橋本は小川サイドの連絡に「そんなに都合よくパンクするか」と怒り、安田に対し「何かあったらヤス頼むな」と発言。これを受けて安田は「気を付けてください、何かあったらいきますから。でもこの商売、それをやっちゃオシマイでしょう」と返答。橋本は「俺もそう思うけど、嫌な感じがする」と返した、といいます。

 

橋本に乞われる形でセコンドに付いたのが山崎と飯塚。さらに新日サイドも厳戒態勢を敷き、試合を終えた健介と中西に長州現場監督が「何かあったら、お前たちもいけよ」と通達。UFO側の不穏な空気を察知した新日プロは永島氏と長州が開場前に猪木に挨拶し、おかしなことにはならないか確認し大丈夫、と言われていたとか、レフェリーのタイガー服部は有事の際にはマサ斎藤に全権を託す約束をしたといった諸説ありますが、真意のほどは定かではありません(マサさんはガチンコになったら止めないでやらせるタイプなので、この判断は誰が考えてもオカシイのですが 笑)。

 

ここからは入場から退場までを、なるべく起こったTV中継に映った事実だけを時系列で記します。

私は普段、試合経過を文字で説明する、という野暮なことはしない主義なのですが、この試合に関しては時系列を追わないことには謎が解けませんので・・・。

 

読むのが面倒くさい人はこの映像を見てください(笑)↓

 


入場

 

「道着を脱いだ格闘家、U.F.O.を背負い小川直也入場!」
田中リングアナの前口上を受け、小川はジェラルド ゴルドー、村上和成、4代目タイガーマスクを従えて「風~STO」で入場。

 

つい1週間ほど前、旗揚げ第2戦のメインで小川と戦った喧嘩屋ゴルドーがセコンドという時点で、キナ臭さがありました。佐山はリング下に。その頃、アントニオ猪木は、というと何故か「1・2の三四郎」の被り物姿でリングサイドに陣取っていました(意味不明)。

 

橋本はおなじみビッグ マッチ バージョンの「イントロ付爆勝宣言」での入場。ただしいつもとは異なり、ガウンを着ていません。

 

小川が橋本の入場途中で「橋本!死ぬ気があるなら上がって来い!」と”禁断の”マイクアピール。
(通常、相手選手の入場時には余計なパフォーマンスをしない、というのがマナーなのです)

 

橋本サイドには安田、中西、カシンの姿、ニュートラル コーナーには大谷、高岩。

 

選手紹介前、小川は佐山、ゴルドーらをはじめとするセコンド陣に「下がってくれ」と指示、フェンスの外に出るように促す。

 

試合開始

軽くステップを踏み、打撃スタイルで威嚇、顔面パンチを狙う小川。

橋本が組み付き、そのまま膠着する場面が続く。その中で橋本は鼻血。

 

小川はコーナーに押し込んで来たままアタマを下げて動かない橋本に対し「何やってんだよ!」と手を叩いて観客にアピール。レフェリーのタイガー服部は橋本を引き離そうと動く。

 

この時、橋本は何度もレフェリーに手を出します。
異変に気付いた解説のマサさんが「何やってんだ」と呟く。

 

テイクダウン

レフェリーのタイガー服部が身体全体を使い橋本の手をロープから離し、ついにテイク ダウン。

 

小川はマウントから顔面にパンチを振り下ろす。
身体をひねってかわそうとする橋本の腕を取り腕十字に移行するも自ら離し、後頭部にサッカーボールキック連打。

橋本は立ち上がり背中を向け逃げるが、小川は後頭部から顔面に容赦ないパンチ。

 

膠着

 

対する小川は顔を突き出し「殴ってみろよ」と余裕のアピール。
挑発された橋本はまたロープを持って膠着。

 

またも必死に離そうと間に入るレフェリーの服部に、橋本は蹴りを入れ、服部がダウン。
その後も橋本は必死でロープを掴み、膠着する両者。

 

ここで、セコンドの佐山がレフェリーのタイガー服部を花道に引っ張り出し「大丈夫?」と声をかけながら介抱(してるようで、リング上から隔離したようにも見えました)。

 

リング内では小川が橋本のタックルを交わしてバックを取り、背後から顔面にパンチを放つ。

 

ようやく5分経過。
小川が橋本を裏返し、再びマウントポジションから腕がらみへ。
このあたりでレフェリーは花道でゴングを要請(橋本の反則負け?)するも、そのアクションは本部席に届かず。

 

惨劇

ロープを放され、身体を入れ替えたところに小川の左パンチが橋本にヒット。

 

必死にタックルにいく橋本、バックマウントを取られパンチ、チョーク、V1アームロック、立ち上がり後頭部を思いっきり踏みつけ、顔面へのサッカーボールキック。

この頭部、顔面への当たりは明らかに一線を超え、危険なものでした。

 

橋本は花道にエスケープ、場内は騒然となります。

 

花道の橋本には安田が覆いかぶさり、林リングドクター、山崎、安田に藤田が加わり顔色を窺う。その横に健介が突っ立っている。

 

ここで両軍のセコンドが花道に上がり、不穏な空気が充満。
小川は山崎と、ゴルドーは飯塚と小競り合い。

橋本は大の字、リングドクターが駆け付けます。

 

カシン、小原らもエプロンに上がり、混とんとする中、ここでゴング。

 

小川はリング上で両手を広げ、飛行機ポーズ。

 

いったいどういう裁定が下るのか、橋本のリングアウト負け?レフェリー暴行による反則負け?

 

小川のマイクと乱闘勃発

当時、一部で話題になった小川と藤田の握手はこの直後。実際は藤田の腕時計と小川のグローブがすれ違いざまにひっかかっただけでした。藤田はその後、橋本のもとへ。

 

ここで小川が有名なマイクアピール。
「もーう終わりかよ、おいおいおい冗談じゃねーよオラッ!。新日本プロレスファンの皆様、目を覚ましてください!」

 

直後、田中リングアナから「6分58秒、無効試合」のアナウンス。

 

場内は大ブーイング。
「明らかに橋本の負けじゃねぇか、無効試合ってなんだ」というのが大勢の反応。

不穏な空気が充満する中、リング中央に小川とゴルドー、村上。
佐山、4代目タイガーが傍にいます。

 

対峙する健介、飯塚、中西、永田。

 

中西が険しい表情で突っかかる。
ゴルドーが間に入り、下がる新日勢。
4代目タイガーが一歩前に出ようとするとカシンが止めに入る。

 

山崎一夫がリング上へ。
橋本を指さしながら佐山に「これはないでしょう!これはないんじゃないですか!」と詰め寄ると佐山は「そうだな、そうだな」と困惑した表情で返答。

 

村上が吠えながら割り込むと永田が前に出る。
藤田は仁王立ち。
カシンは「下がってくれ」と小川を押しやる。

 

橋本は花道で片膝をついて鼻血をタオルで拭きながら呆然とリング上を見守り、真壁と林ドクターが傍についている。

 

小川はコーナーポストに座り、両手をヒラヒラさせる。
それを見た小原が「行け!」と安田の背中を押す。
安田が突進、飯塚が続き、いつの間にか現れた齋藤彰俊も参戦。

ついに両軍の乱闘が勃発。

 

村上が飯塚に「来いよ、オマエよう!」と叫び、飯塚が蹴りを入れ乱闘に。

 

村上は飯塚にフロントフェイスロック。
藤田が止めようと村上を背後から捕獲。
その頃、小川には山崎が詰め寄り、激しく言い合い。

 

ゴルドーが間に仁王立ちするも引かない山崎、小原も加わる。

 

長州登場

ここで長州が通路に現れ、観衆から大歓声が巻き起こります。

 

リング下のカメラマンを「どけコラァ!」と蹴り飛ばし、リング上へ。

 

すぐさま小川の元に進む長州に、佐山が割って入る。
長州は「どけ!」といったアクションを見せるが、佐山、ゴルドーの鉄壁の守り。

トップロープに腰掛ける小川に詰め寄る長州。
藤田、永田、山崎、小原、中西の順で下がるように押しやるが、その際に長州は「下がれ」ではなく「潰せ!」と口走っている。

 

そして長州は小川の前に立つと、見え上げながら「それがお前のやり方か。なぁ。それがお前のやり方か」と冷静に繰り返す。

 

小川退場

なおも詰め寄る長州を佐山が押しとどめ、後ろから永田が長州を制止。
小川は頭上で手を叩き観衆を煽る。

長州が一歩引いたため、小川はゴルドーと共に退場。

 

まだエプロンに残る村上に長州が詰め寄る。
小川は振り返ると「村上!行くぞ!」と告げるも村上はエプロンに残る。

この時点でU.F.O.側は佐山と4代目タイガーマスク、村上がエプロンに残る。

 

永田が佐山に「下がってください」と声をかけると、佐山は頷いて村上と共にリングを降りる。

新日勢はU.F.O.勢が下がるのをコーナーで見守る。小原はコーナーに登り監視。

 

再度大乱闘

突然、小原と村上が口論。
そのとき、たまたまエプロンから降りようとしていた4代目タイガーマスクの頭を小原がひっぱたく。反射的に4代目もストレートを放ち、これがきっかけとなり再び大乱闘へ。

 

小原が4代目に蹴り、飛びかかる。
カシンが小原を制止するが今度は高岩が4代目に殴り掛かり、それを佐山が制止。

 

興奮してTシャツを脱いだ村上が吠えると安田が突進、雪崩のようにリング下に押し倒し、そこに飯塚が参戦してストンピングの雨。

 

佐山が体を張って飯塚を制止。
村上は意識不明で昏倒し、担架→救急車運ばれる事態に
(一時は意識不明だったが結局、一過性脳震盪と鼻骨を骨折)。

 

再び長州‐小川

この騒ぎを聞きつけ小川がいつの間にかリング上に戻ってくる。
佐々木健介と向き合い、ファイティングポーズ。健介は困惑の表情。

 

小川を確認した長州は再び詰め寄る。
ゴルドーが間に入るも、キレる寸前の長州には効力なし。

 

ここで橋本が必死に長州を制止。
さらに中西、永田らが止めれば止めるほど、キレる寸前の長州に油を注ぐ結果に。

 

長州は冷静さを装いながらも「潰せ!潰せ!」と口走る。

 

長州キレる

ここまで怒りを抑えてきた長州がついに暴発、小川に右ストレート。
解説の東スポ柴田氏が半笑いで「キレた!キレた!」と大喜び。

 

橋本、永田、中西が必死で長州を制止すると小川とゴルドーはエプロンに避難、再退場。

 

長州は制止する永田にも蹴り、ウインドブレーカーを脱ぎすて臨戦態勢。
場内大歓声。

それを見た橋本が「止めろ!」とリング下の選手を手招きし、自ら長州を押さえにかかる。

 

橋本退場

ようやく乱闘が終息。
リング上では長州がなにやら橋本に語りかける。

 

ここで橋本はマイクを要求、いったんは手に取ったが長州がすかさずそれを奪い「下がれ、ハシモトー!」と怒鳴る。橋本は不満げな表情で仁王立ち。

 

「いまだけこらえとけ!」長州は橋本の背中を押して強引に退場を促す。

 

場内はブーイングの嵐。

 

橋本は花道で踵を返し、リングに向かおうとするが長州が「連れてこい!」と怒鳴り、安田、真壁らが橋本を捕獲。
「マイクアピールやらせてください!」と叫ぶ橋本に長州は「ダメだ!」と一喝。

 

橋本は安田、真壁、高岩、山崎、永田に取り囲まれるように場外へ。

 

試合後のコメント

 

両者の公式会見でのコメント

小川「これ猪木イズムですから。殺るか殺られるか。いい感じで(猪木イズムを)だせたんじゃないですか」

 

橋本「絶対許さないよ。そういうファイトで来るんなら俺もやってやるよ。何がアントニオ猪木だ!ケツ叩いて叩いて、もう小川の目完全に飛んでるやん!後ろで焚き付けてる奴、誰か知らないけど許さないよ、遂に別れる時が来たよ、本当に。許さないぞ、本当にアントニオ猪木!一発いいの入っちゃったから最初の方に…わけわかんなくなっちゃったけど…」

 


 

これが当時、テレビ中継されたこの一戦の一部始終です
(当初のオンエアでは中盤の乱闘は一部、カットされた部分もありました)。

 

後に判明した試合後の舞台裏は後に廻すとして、次回はなるべく後付けの知識を含めず、当時の私の感想を思い出してみます。

 

②へつづく

コメント

  1. 新日最強 より:

    私はテレビ放送された部分しか見ていませんが、新日選手が小川選手に詰め寄るシーンは本当に胸を打つ場面です。新日道場最強と言われていたプライド、プロレスラーのプライド、それを踏みにじった(そうせざるを得なかった)小川選手への闘争心。永田、中西選手が小川選手に何か言います(このときの中西選手の鬼の形相は尋常じゃありません)。山崎選手は飛びかかりそうです(道場のコーチをされていたかと思います)。私が一番感動する場面は小原選手が「よーし、いくぞー」と新日選手を鼓舞する場面です。小原選手は新日がなめられたという怒り、暗黙のルールを破った怒り、強さの象徴であり良き先輩の橋本さんに恥をかかせたことの怒りと目が血走っていました。本人はヒールでありながらも国士舘柔道部出身、実力は指折りだったでしょう。そしてこの試合を境に橋本選手の人生は代わってしまいます。私は爆勝宣言のイントロを聞くだけでいまだに涙が出ます。後日、また橋本選手権は小川選手に負けるのですが、このときリングアナウンサーに立ってた猪木さんへ「ありがとうございましたー」と言って足元に崩れ落ちます。猪木さんは足を動かさずに泣きながら橋本選手を見つめてる。この橋本選手がなぜ猪木さんにありがとうございましたーと言ったのか、今度教えて下さい。ありがとうございました。

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