子門真人さん、ささきいさおさん、水木一郎さん、堀江美都子さんに続く「テレビまんが」主題歌 歌手シリーズ第5弾。今回は、ヒデ夕樹さんをご紹介します!
●ヒデ夕樹さんとは?
本名 平野 英之さん。別名 秀 夕木、ヒデ 夕木、秀 夕樹など多数あり。1940(昭和15)年11月5日生まれ、1998(平成10)年12月8日、58歳の若さでお亡くなりになりました。
1970年代から1980年代初頭にかけて、アニメ、特撮番組の主題歌、挿入歌を歌唱。また、日立グループのCMソング「この木なんの木(日立の樹)」のオリジナル歌手もこのお方です。
この方の特長は独特の陰のある、湿った歌声。ご本人はR&B系統の楽曲を嗜好されていたそうです。陽性でカラッとした子門真人氏とは対極でした。
●代表作
〈特撮〉
「風よ光よ」(1972 快傑ライオン丸op)
「鉄人タイガーセブン」(1973 鉄人タイガーセブンop)
「ゴーゴー・キカイダー」「戦え!人造人間キカイダー」(1972、人造人間キカイダーop/ed)
「フラッシュ! イナズマン」(1974 イナズマンF op)
「戦え! ウルトラマンレオ」(1974 ウルトラマンレオ 後期op)
「駆けろ! スパイダーマン」/「誓いのバラード」(1978 スパイダーマン op/ed)
<アニメ番組>
「力石徹のテーマ」(1971 あしたのジョー ed)
「海のトリトン(GO! GO! トリトン)」(1972年 海のトリトン op/ed)
「ブロッカー軍団 マシーンブラスター」(1976 ブロッカー軍団IVマシーンブラスター op)
「夢の舟乗り」(1978 キャプテン フューチャー op)
●主題歌、誰が歌うのか問題
黄金期である1972〜74年の特撮番組の主題歌を誰が唄ったのか、をまとめてみると、
ヒデ夕樹さん
「快傑ライオン丸」
「人造人間キカイダー」
「鉄人タイガーセブン」
「ウルトラマンレオ」(後期)
「イナズマンF」
水木一郎さん
「超人バロム・1」
「変身忍者嵐」
「走れ!ケー10」
「仮面ライダーX」
子門真人さん
「レッドマン」
「ファイヤーマン」
「アイアンキング」
「ジャンボーグA」
「流星人間ゾーン」
「ロボット刑事」
「キカイダー01」
「イナズマン」
「電人ザボーガー」
「仮面ライダーアマゾン」
「猿の軍団」
という具合。
特撮番組では子門真人さんの作品数が多いのが目につきます。水木一郎さんが意外と少ないのは、おそらく「マジンガーZ」以来、アニメの方が特撮より多いからではないでしょうか。(ささきいさおさんはもう少し活躍時期が後です)それでも、一般的にはアニソン・特ソンといえば「子門真人さん&水木一郎さん」のイメージが強く、ヒデ夕樹さんは主題歌において「特撮主題歌第三の男」的な印象です。
興味深いのが、シリーズものであっても歌い手が変わる点。例えば
・「キカイダー」はヒデ夕樹さんですが、続編の「01」は子門真人さん。
・「イナズマン」は子門真人さんで続編「F」ではヒデ夕樹さん。
・「怪傑ライオン丸」はヒデ夕樹さんですが、続編の「風雲ライオン丸」は別の方(浜ジョージさん)です。
・「仮面ライダー」シリーズは、「1号、V3」は主人公本人が歌唱(2号は子門真人さん)、「X」は水木一郎さん、「アマゾン」は子門真人さん、「ストロンガー」「スカイライダー」は水木一郎さん
…となります。
このように番組シリーズや制作プロダクションで偏りがあることもないので、いったい誰が、どういう視点で歌手を選定していたのか、興味深いです。確かな資料が見つけられずにいますが、こんなコメントがありました。
「『歌唱法が子供向けではない』という理由でヒデの起用に難色を示す声もあった」(『スパイダーマン』の音楽を担当した際の作曲家 渡辺宙明氏の証言)
「子門真人さんが『風よ光よ』の歌唱を熱望していた」(実際はヒデ夕樹さんが歌唱)
これらのことから、やはり楽曲や番組の雰囲気から、その都度、歌手が選定されていたのでしょうね。(子門真人さんはコロムビア カバーバージョンで、他歌手の楽曲も数多くレコーディングされています)
ヒデ夕樹さんが亡くなられたのは1998年。アニソンや特撮ソングが再評価、ブームになる少し前でした。そのため、本人が唄っている映像や画像が極端に少なく、”謎の歌手”というイメージが。それでも、数多くの楽曲と唄声は、永遠に遺りますね。
●「日立CMソング 日立の樹」初代バージョン
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