ネタバレする前に、と3/18(土)の午前回にさっそく、観てきました。
思ってたより空いてて、宣伝が足りないんでは?と不安になりましたが・・・。
結論。
「シン・ゴジラ」には勝てないものの、私は「シン・ウルトラマン」より全然、こっちの方が好き。
賛否両論あるようですが、私としては珍しく、見終わった直後に「もう一度観たい」と思わせてくれる作品でした。
何がよかったのか。
単純に、昭和の「仮面ライダー」のカッコよさ、テンション、盛り上がりをしっかり描いてくれた点。
しっかり「仮面ライダー」してました。「仮面ライダーを観た」と思いました。
なにより、仮面ライダーの造形と佇まいがひたすらカッコいい。
ちゃんとバイクに乗っている。
赤いマフラーが風に靡いている。
最初期の、黒くてカッコいい時期の1号が、むやみに高いところから登場する。
アングルはもっとも美しく、カッコいい角度をひたすら切り取って並べてくれる。
そしてハッタリとケレン味のある大袈裟な演出、次から次と登場する怪人。
ひたすら盛り上がるバトル、そこで鳴り響くサイクロンのエンジン音と、あのテーマ曲!
“あの頃“の仮面ライダーの魅力って、ソレなんです。もうソレでいいじゃないですか。
整合性が〜とか、敵の存在意義が〜とか、面倒くさい議論はどうでもいい。
そんな「綺麗に整った」作品を期待してる人は、きっとたぶん、昭和のあの「仮面ライダー」のTVを観ていない世代なんじゃないかと思うのです。
庵野秀明監督は、パンフレットにこう記しています。
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本作に関する最初のメモの日付は、2016年1月8日。
それから完成までの7年間強の間、自分を支えた最大のモチベーションは「僕の考えた仮面ライダーを作りたい」ではなく「仮面ライダーという作品に恩返しをしたい」でした。
自分にできる恩返しは、ATAC等で過去作の資料保存と啓蒙活動に加えて、「新作」を作ることでオリジナル作品を自作で越えるのではなくオリジナルの魅力を社会に広げ、オリジナルの面白さを世間に再認識して貰う事でした。
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庵野監督は、過去作をリブートする際、「オリジナルのクリエイター達はいったい何を考えて、何を魅力だと思って創っていたのか?」という本質を捉えよう、そしてそこは変えないで、最新技術で本質的な魅力を最大限リブートしよう、と考える人だと思います。
では、「仮面ライダー」の魅力って何なのか。
昭和期から何十年もシリーズ化されていますから、その時期その時期で触れた人が期待することは違うでしょう。
私はV3からリアタイですが、幸いなことに再放送で何度も「仮面ライダー(1号、2号)を観て育ちました。
思えば、最初期の「仮面ライダー」のTV番組は、毎週毎週、次から次へと怪人が現れて、戦って、ストーリーの整合性も敵組織の存在意義も、もっと言えば主人公のキャラや仮面ライダーのあり方だって「やりながら考えてる」感じの、“粗さ“に溢れていました。
そしてそんな辻褄の合わないツッコミどころを全部ブッ飛ばすのが、ひたすらに激しいアクションと、なんだか禍々しくて不気味で変だけど、すごくカッコいい、仮面ライダーのフォルムだったように思えるのです。
上映時間120分=24分×5。5話分だけど、最初の10話くらいを1本にまとめ(て余計なとこはカットし)た総集編だと思えばいい。東映まんがまつり方式だ。
綺麗にまとめて、ややこしい理屈をつけて、という努力もされてはいたけど、どんなにやってもどうせそこが「粗い」とか「ダルい」とか文句を言う人がいるんだし、ほっとけばいい。
私はそっちに振り過ぎた「シン・ウルトラマン」は、どうにもノレませんでした。そんなのどうでもいい、そこが見たい訳じゃない、と思う派なのです。
感情移入が~とか面倒くさいことを言う人もいるようですけど、どこの誰が「秘密組織ショッカーに改造された人間の気持ち」を理解できるというんだ。アホか。
懸念してたキャストも、実際観てみたら魅力的でした。
主役が本郷猛にしては線が細い、二枚目じゃないとか、ヒロインの浜辺美波が最近痩せ過ぎて前の方が可愛かった、とか思ってましたが、ちゃんと成立してました。
一文字がなぜこの人なのか、もなるほどでした。
マスクの後ろから髪が見えてるところとか、たぶん庵野監督が思う「仮面ライダーのカッコよさ」と、私の思うところが一致したんでしょう。
だからもう、好みの問題です。
でも、昭和世代の人なら、たぶんきっと、「面白い」と感じると思いますよ。
多くの人に映画館に足を運んで体感してもらってヒットしてもらいたい。
そして、庵野監督にはまだまだ日本の特撮をリブートして、その魅力を再認識する機会を創ってもらいたいと思います。
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