さてさて、本blog「昭和特撮」シリーズではたびたび、ピー・プロダクション作品について取り上げてきました。
・マグマ大使
・スペクトルマン(宇宙猿人ゴリ)
・快傑ライオン丸
・風雲ライオン丸
・鉄人タイガーセブン
・電人ザボーガー
・冒険ロックバット
今回はそのまとめ、として「ピー・プロダクション」と、創始者である「うしおそうじ氏」を取り上げます。
うしおそうじ氏は「特撮の神様」円谷英二氏と、「マンガの神様」手塚治虫氏の両氏と交流がある、伝説のクリエイター。そしてピー・プロダクションは言わば「特撮界の国際プロレス」。マイナーかつ独特な世界観で魅力溢れる、第3極 制作プロダクションが残した数々の作品は、いまなお根強い人気を集めています。
●メインストリームのはざまで
日本における「TV特撮」のメインストリームは、現在も続く「ウルトラマン」シリーズの円谷プロと、「仮面ライダー」「スーパー戦隊」シリーズの東映作品です。
当然、この二大巨頭の他にも、特撮マーケットを狙った制作会社はいくつも存在しました。
●「月光仮面」「遊星王子」「ジャガーの眼」「快傑ハリマオ」「光速エスパー」の宣弘社
●「流星人間ゾーン」「レインボーマン」「ダイヤモンドアイ」の東宝
●「忍者部隊月光」「コメットさん」「ワイルド7」の国際放映
●「シルバー仮面」「レッドバロン」「マッハバロン」の日本現代企画
●「サンダーマスク」のひろみプロ/東洋エージェンシー(創通)
などなど…
>関連記事「昭和特撮 60~70年代 特撮ヒーロー総まくり」
中でも数多くの作品を残し、独特な世界観から今もって多くのフォロワーと熱狂的マニアからの支持を集めるのがこの、ピー・プロダクションなのです。
●実写+アニメーション
ピープロならではの表現技法としては、「実写」+「アニメーション」。
ピー・プロダクションは実写特撮とアニメ制作の両方を行う、まことにめずらしい制作プロダクション。そのバックボーンは、創立者うしおそうじ氏が戦時下の東宝 線画部育ちで、実写と線画アニメーションの経験が豊富であり、戦後は漫画家として活動していた、という点にあり、そこから派生したテクニックです。
いまであればCG合成、となるところですが、実写では表現できない部分をアニメーションで行い、実写と合成してまとめる、という高度なワザを「ウルトラマン」より2週間早い、日本初のカラー特撮ヒーロー番組「マグマ大使」(1966 昭和41年)で実現した技術力は特筆すべきポイントです。
そして、この技術はすでにマグマ大使より5年前の1961(昭和36)年、大映制作の大作映画「釈迦」で披露されていた、というのもスゴイです。
●ハード&ダークな世界観
もう一つは、ハードな設定とストーリー展開。比較的、近未来の明るい世界を描く円谷プロや、勧善懲悪でド派手な東映作品とは異なり、ピープロ作品は社会の不条理、生々しい人間関係、高度成長期の矛盾などが描かれ、フィルムの質感と共に、なんとも言えない“昭和“の味わいを醸し出します。
また、おしなべて低予算でチープな空気が漂い、それがまたB級としてのカルト的、アングラ的評価につながります。
そしてそれら魅力の源流は、イコール創業者うしおそうじ氏の魅力、なのです。次回、後編でははうしおそうじ氏の足跡をご紹介します!
コメント
拝啓 めっきりと涼しくなった今日この頃、サイトヘッド様にはよろしくお願いいたします。
*「特撮TV市場に永久に輝く傑作=光速エスパー 大巨匠服部先生親子と幻のアレンジャー?」
上記を筆頭する「宣弘社プロ制作の光速エスパー」忘れられぬ名作です。現在見る影も無いスポンサーの東芝がおそらく最も光り輝いていた頃の素晴らしい作品であり、キャスティングも「宇佐美淳也 細川俊夫 月岡千秋」等のスターが集結し、脚本も当時すでに「ワープ」等の用語も使用され、俗称怪獣などは非登場だが、現在で言うエイリアンの本家?の様なスペースモンスターもどきが多数出て、主役の「三ッ木清隆さん 当時中一」が美少年主役として非常に男女ともに人気がありました。そんな中でも当時小学4年の自分が、とにかく一番驚き心惹かれたのは音楽=「主題歌 BGMサントラの圧倒的な素晴らしさ」でした。当時のクレジットには「作詞=吉岡治 作曲=星一」と表記され、作曲者が?で非常に疑問視しておりましたらその後「服部良一氏」と表記が変わり改めて納得いたしました。作詞の「吉岡治氏は現在演歌でしか知れらていないが実は「魔神バンダー」等の名作詞を手掛けられ、意外な一面を見せて頂きプロ作詞家の本領を強く感じました。何よりこの光速エスパーは、知る限り「服部先生親子の初の共演共作」と言えるのです。ご子息で最近惜しくも亡くなられた「服部克久先生」は資料では作曲家デビューが21歳「日テレの遊星王子」で、その後28歳当時の作品が光速エスパーでした。まず「父君服部良一先生作曲のテーマ主題歌」の素晴らしさは、まず僅か12小節と言う短いメロ(4/4拍子)の中に起承転結 上下 全ての要素を凝縮させ、たれでも歌いやすく覚えやすく親しみやすく記憶に残るメロディーを創造されたのです。かつてこれ程短くても実に端的に全てを表現している特撮テーマメロは無かった、、、、詩も実に単純シンプルに見えて感じても、実はきちんとツボ=エスパーの全て を押さえ把握しシンプルな動詞語?擬音語?を操り取り入れた詩は見事でした。また当時の東芝レコード17cEP盤には「編曲=中村五郎」と表記されておりました。現在この見事としか言いようの無い素晴らしいアレンジは、
名の在りそうなライター連中でも「克久先生だろう」程度のいい加減な憶測でものを書いているが、どうも間違い無く編曲は「中村五郎さん」です。この方は現在大変謎が多く情報がほとんどありませんが、「ハマクラ作詞作曲の花と小父さん=編曲 更には作詞作品や海外楽曲の訳詞までされていた」と解りました。更に追い込めば「ダークダックスの周辺」までたどり来ましたがこの後進展せず、、しかしアレンジ編曲の見事さだけでも相当な実力者と解ります。
*「光速エスパーテーマ&サブ星影のブルースター アレンジの妙技と秘密」
まずテーマ曲イントロの変則コードと当時の幼稚な電気電子楽器?とビブラフォン他を使ったイントロ、フルートとビブラフォンのカウンターメロディのごとく考えられたメロに、驚くのはペットの活躍がほとんど無く主役はトロンボーン、素晴らしく印象的かつ忘れ難い間奏はフルートとビブラフォン、最後のエンディングはフルオケとティンパニー、カセドルチャイム=チューブラベルの大活躍で豪華に終わるその手法は、まぁ克久先生と思われても何ら不思議では無い。サブの星影のブルースターも、当時の和製ポップスの単純なアレンジを超越し、ハーモニカを主役にEリードギターの大活躍、非常に印象的で忘れ難い余韻を残します。
こけだけ才能実力ある方が何故もっと活躍されなかったのか、、、現在お元気なのか? 何かの情報がありましたらぜひお知らせください。
*「BGM&サントラ 特撮TV史上稀なる名作傑作を生みだした服部克久先生の素晴らしさ」
まず皆様はぜひ「第一話をよーーーく観聴き」されて下さい。この第一話には音楽の全てが在るのです。まず「エスパー出動 宇宙での活躍の際流れるBGM」こそ、遂に前後誰も成しえず創れなかった素晴らしいBGMがあります。ティバニーの連打からトロンボーン主体の格好良いフレーズ、Eベース&Eリードの刻むリズムとその後出てくる弦のパッセージ、これらの和声進行は実は未だに自分では正確精密な解析が?程=つまり単純なダイヤトニック進行では無くて9/13等の複雑なコード進行を組み合わせた極めて高度な和声の使用法であり、この作品前後にこれほど難解な和声を用いたBGMは終ぞ無かった、、、、またメロディーも本当に格好良く、最後のエンドマークの出る場面のBGMもまた傑作で、ペット除くトロンボーンが主役であり、ティンパニーとバイヴが大活躍し、まるで海外SFドラマの現代音楽スタイルを聴いているかの様な感覚に陥る素晴らしいBGMです。当時から「パリ音楽院の様な物凄い学校を出てクラシックの基礎を完璧に習得すれば、こんな物凄い音楽を創れるのだ」とガキ心ながら心底驚いたのです。そういえば「良一先生も、お抱え亡命クラシック音楽家のメッテル氏」に作曲編曲指揮と全て個人指導で徹底的に教わり、直ぐに世に出て仕事始めたと言う大家、、、、やはりこういう方は全てが違うし更に驚くのは「人=他人を見抜く眼力=当時オペラ歌手を挫折した小川寛興先生をスカウトし内弟子として徹底的に鍛え上げ、大作曲家として大成させた」のも良一先生の功績、、、、やはり師匠が凄ぇとお弟子も凄ぇなぁと、、、、
こうして驚く程の才能実力者を集結させての光速エスパーも、残念ながら視聴率的には期待に沿えず、更に大赤字を出して散々だったと(当時の田村正蔵プロデューサーインタヴュー)
また大赤字のおかげで「BGMサントラの音楽テープすら残せなかった」と。非常に残念です。
このテープが存在すれば、必ず間違い無く素晴らしい資産となり、後世の作曲者たちに必ず大きな影響を与えられた傑作でした。当時のスコアは克久先生のお手元には在ると言われますが、自分は当時から「ビデオのオーディオトラックから、台詞のかぶらないBGMを抜き出してテープの手切り編集で繋ぎ、1曲の独立BGMとして完成」させ聴き狂っておりまして、今でも良く聴いています。初の服部先生親子共演作品「光速エスパー」こそ絶対に忘れてはならない、不滅のSF特撮TVドラマなのです。 敬具