我々昭和世代の学習雑誌といえばなんといっても学研の「科学」と「学習」でしょう。
「まだかな、まだかな~学研の、おばちゃんまだかな~」のCMソングを覚えている人も多いと思います。
70周年を記念して、こんなスペシャルサイトが公開中です。
小学生の2/3が読んでいた 学研「科学」と「学習」とは?
創刊は「〇年の学習」が早く、終戦直後の1946(昭和21)年。
「科学」は1957(昭和32)年から発売され、学習と同じ「〇年の科学」としてふろくがついたのは東京オリンピックを目前に控えた1963(昭和38)年。発行元は、学習研究社(翌1947年に株式会社に。現・学研ホールディングス)です。
文部省の学習指導要領に対応した教育雑誌で、当初はなんと、学校の先生から販売されていたそうです。これは「敗戦直後は教科書が不足し、数少ない教科書もGHQの検閲により墨入りだらけ。そのため、本冊子は学校の教科書を補完する役割だった」ためなのです。
しかし高度経済成長期の1971(昭和46)年、「消費者基本法」制定をきっかけに日本消費者連盟から「学校で商売するな」と横やりが入り、1972(昭和47)年から「学研のおばちゃん」(正式名称は学研コンパニオン)による家庭訪問販売に変わりました。
第2次ベビーブーマー、団塊ジュニアが小学校に入学し始めた1979(昭和54)年には、「科学」と「学習」12誌合算で、なんと月販670万部(!)を記録。当時の小学生人口が約1,000万人ですので、「科学」と「学習」は小学生の3人に2人(!)が購読していた、国民的超メジャー雑誌なのです。
人気の「科学」、実力の「学習」
私も小学生当時、両誌を定期購読していました。
やっぱり、楽しみなのは「科学」。主に理科と算数を題材とした、バラエティ豊かな「実験」ふろくの数々は毎号、子どもゴゴロを鷲づかみにしました。
一方の「学習」は国語と社会が中心で、読み物が多かった記憶があります。
1970年代後半からは石ノ森章太郎先生、永井豪先生の手がけた漫画も連載。1980年代には「チックンタックン」、「ミラクルジャイアンツ童夢くん」がテレビアニメ化にもなりました(そのほか、「ニルスのふしぎな旅」「三つ目がとおる」「一発貫太くん」なども連載)。
CM 学研のおばちゃん
「ふろく」の企画・開発担当は1名?
なんといっても人気のふろく。
当時の学研の担当者によれば「1学年につき担当は1人、1年から6年まで6人の編集長がいる。その6人がそれぞれ月に1つ、年間12個の付録を指導要領に沿って企画・開発」していたそうです。
常に締め切りに追われている状態だったそうで「月に3つは企画出す→会社から承認がおりる→試作品で実験→上手くいったら工業デザイナーに発注→完成品を社内会議でお披露目→やっと付録に、みたいな流れ」とのこと。指導要領に沿っているため、企画・開発の遅れは許されないそうで・・・まさか1人でやっていたとは驚きです。
当然制約も多く、「まず最初はアイデアの壁。おもしろくて、ためになる付録がマスト。そして次に原価。いくらおもしろくても値段が一定以内に収まっていないと出せない。そして最後に安全性。昔はアルコールランプなんかがついていた時代もありましたし、ポンポン船っていう火を扱うような付録もあったんですが、子ども向けには危ない、と。粉とか薬品のたぐいは、全部飲み込んでも問題ないものを使っていました」のだそうです。
人気ふろく
「科学」のふろくとして有名なのが、
レコードプレーヤー、あり飼育セット、カブトエビ飼育セット、磁石、ゲルマニウムラジオ、顕微鏡、人体骨格セット、ピンホールカメラなどなど。
私は「色水実験セット」「顕微鏡」「上皿てんぴん秤」「星座早見プラネタリウム」なんかが印象的です。
「学習」のふろくとして有名なのが
年賀状制作キット(版画・ステンシル・スタンプ)、鉱石セット、地図記号スタンプ、ローマ字ネムパンチャーなどなど。
私はホンモノが詰め合わせで付いてくる「鉱石セット」とか石膏を型に流して作る「小判制作キット」が、テンション上がりましたね(笑)。
「こども雑誌のおまけ」の域を超えたアイデアと実用性は、いま見てもときめきを感じます。
このアイデアはいまでは「大人の科学」に受け継がれていますが、やっぱり子ども時代にこそ、こういうものに触れてほしいですね。
休刊、そして復刻版
このように我が国の児童教育を支え一時代を築いた「科学」と「学習」ですが、1990年代に入ると少子化の影響から販売部数の減少に歯止めがかからず「学習」は2009年度冬号、「科学」は2010年3月号を最後に休刊に。
60年以上に渡る歴史に幕を下ろしました。
2010年には、当時の懐かしい冊子とふろくを復刻した「永久保存版 もう一度見たい!科学と学習」が発売されています。
う~ん、見てみたい。
コメント
科学の中の漫画伝記で牧野富太郎先生の話があったと思います。世の中にあらんかぎりやすえこざさと出ていたような記憶があります。今NHKでやっているドラマがその記憶だけで楽しく見れています。
強烈に懐かしい!
確かに私が低学年の頃は、学校で科学と学習用の月謝袋が配られて
毎月一回、学校の前の道ばたで購入してました。
ホントに楽しみでした。
その後は、学校御用達みたいな文房具屋が近所に必ずあって
そこで販売されるようになりました。
そんなわけで、残念ながら学研のおばさん世代ではありません。
71年の付録の幻灯機は覚えています!
小野さん、コメントありがとうございます!
まさに「学校で買っていた世代」ですね!